中国「バブル崩壊」待ったなし…日本のバブル崩壊と比べて〈桁違いに深刻〉といわれるこれだけの理由【経済の専門家が警鐘】

中国「バブル崩壊」待ったなし…日本のバブル崩壊と比べて〈桁違いに深刻〉といわれるこれだけの理由【経済の専門家が警鐘】
(※写真はイメージです/PIXTA)

中国の「不動産バブル崩壊」による、世界経済への影響が懸念されています。日本のバブル崩壊は「失われた30年」に帰結しましたが、今回の中国におけるバブル崩壊はそれよりもさらに規模が大きく、経済全体におよぼす影響は計り知れないと、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏は警鐘を鳴らします。日中不動産バブル崩壊の規模や要因を比較しながら、中国バブル崩壊の実態を詳しくみていきましょう。

中国の不動産関連負債が急拡大…経済全体にも大きく影響

こうしたことから第三に、不動産金融において、中国の不動産関連負債は日本に比べて突出したレベルとなっている。日本の不動産金融はもっぱら銀行部門の過剰融資であった。それに対して中国は地方政府の別動隊であり公共インフラ整備資金の調達を担う地方融資平台(LGFV)の債務が急拡大してきた。

 

日本の不動産金融の規模は、1990年の総量規制の対象となった3業種(建設、不動産、ノンバンク)に対する銀行融資と捉えてよい。3業種向け貸し付けは1980年33兆円(総貸出に対する比率13%)、1985年50兆円(同18%)、1990年89兆円(同22%)、1997年115兆円(同22%)と急増しバブル形成の主燃料となったが、そのGDPに対する比率は1985年15%、1990年19%、1997年21%であった(図表9)。

 

出所:武者リサーチ
[図表9]日本の不動産向け貸付額と貸付比率、対GDP比推移 出所:武者リサーチ

 

それに対して中国の場合、融資平台だけで債務総額は2018年35兆元(対GDP比38%)、2023年57兆元(対GDP比53%)と推移し、IMFの見通しでは、2027年102兆元(対GDP比では60%以上)となっており、日本の比ではないことがわかる。

 

IMFはこれらを政府の隠れ債務と呼び、それを加えれば中国の政府債務残高は2027年にはGDP比149%と日本に次ぐ高債務国になると予想している(図表10、日本総研三浦有志氏「中国経済の新たなリスクに浮上した地方融資平台」より)。

 

出所:日本総研
[図表10]中国地方融資平台債務残高と対GDP比推移(IMF、日本総研) 出所:日本総研

 

加えて、日本のバブル崩壊時には存在しなかったシャドウバンキング(貸付信託、受託債券、受取手形、 信用状、収益権等)によるデベロッパー等の資金調達も数十兆元(対GDP比10%以上)存在していると推測される。

 

また家計債務対GDPを比較すると、日本のバブル期(1980~1990年)で45%から68%へと23ポイントの上昇だったのに対して、中国は2010年の26%から2020年の62%まで36ポイントと急上昇しており、中国の家計債務の脆弱性が推測される(図表11、12)。

 

出所:BIS、武者リサーチ
[図表11]米中韓日の家計債務の変化(2009 年第4四半期→2022年第4四半期) 出所:BIS、武者リサーチ

 

出所:BIS、武者リサーチ
[図表12]日中家計債務対GDP比推移 出所:BIS、武者リサーチ

 

第四に、不動産バブルの経済への影響において中国の比重は大きい。バブル関連産業を建設業と不動産業と定義し両者の産業別GDPを合計すると、日本の場合1990年GDP比21.0%(建設10.1%、不動産10.9%)、2021年同17.4%(建設5.5、不動産11.9%)と推移してきた。それに対して中国は2016年29%(建設+不動産)と推定されている。

 

以上のように検証すると、すでに形成された不動産バブルのスケールは、1980~90年代にかけての日本のそれよりははるかに大規模なものであることがわかる。

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武者 陵司

株式会社武者リサーチ

代表

 

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※本記事は、武者リサーチが2023年9月19日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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