(※写真はイメージです/PIXTA)

「人生100年時代」といわれ、長い老後の生活資金を確保することが重要になっています。その基礎となるのが公的年金です。実は、公的年金には、メインの年金以外にも、申請することで受け取れる特別の年金の制度が複数あります。本記事ではそのなかで、サラリーマンが本来の受給開始年齢の65歳より前に受給できる「特別支給の老齢厚生年金」について、受給の条件、受給金額、手続き等を解説します。

受給金額(報酬比例部分)

報酬比例部分の受給金額は、厚生年金保険に加入していた期間の給与等の平均と、加入月数により決まります。計算式は以下の通りです。

 

【報酬比例部分の受給金額の計算式】

・2003年3月以前の加入期間分:平均標準報酬月額×7.125/1,000×2003年3月以前の加入月数

・2003年4月以降の加入期間分:平均標準報酬月額×5.481/1,000×2003年4月以降の加入月数

 

◆働きながら受給すると「減額」されることがある

働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、年金額が減額されることがあります。以下の計算式で算出された金額について、48万円を超えた部分の額の2分の1がカットされてしまうのです。

 

基本月額 + 総報酬月額相当額

 

「基本月額」は報酬比例部分の金額をさします。「総報酬月額相当額」は直近12ヵ月の給与の平均月額です(ボーナスを含みます)。

受給の手続き

特別支給の老齢厚生年金は、受給開始年齢になる3カ月前に、日本年金機構から、「年金請求書」と請求手続きの案内が送付されます。「年金請求書」には「基礎年金番号」「氏名」「生年月日」「性別」「住所」「年金加入記録」が印字されています。

 

受給開始年齢に達したら、この年金請求書を、以下の必要書類と一緒に提出して、受給手続きを行います。

 

【すべての人に必要】

・戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか

・受取先金融機関の通帳またはキャッシュカード(本人名義)のコピー

 

【厚生年金に20年以上加入、かつ配偶者または18歳未満の子がいる場合に必要】

・戸籍謄本(記載事項証明書)

・世帯全員の住民票の写し(マイナンバーの記入で省略可)

・配偶者の収入が確認できる書類(マイナンバーの記入で省略可)

・子の収入が確認できる書類(マイナンバーの記入で省略可)

 

「もらい忘れ」も請求できる

ここまでご覧になって、受給手続きを忘れてしまったという方もいるかもしれません。しかし、安心してください。5年前までなら遡って請求できます。なぜ5年前なのかというと、年金を受給する権利は5年で時効消滅するからです。

 

特別支給の老齢厚生年金は、手続きをしなければ受け取れません。もし、まだ受給手続きをしていないのであれば、できるだけ早く受給手続きをすることをおすすめします。5年の時効にかかって受給権が消滅したら、泣くに泣けません。

 

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