首位スイスとは2倍超の差…ビッグマック指数で見る“安い日本”
日本はどの程度「安い」のか、具体的なモノで見ていきましょう。世界中のマクドナルドで売られている「ビッグマック」の価格を比較した、有名な「ビッグマック指数」という指標があります。
これは、イギリスの経済誌「エコノミスト」が毎年2回発表していて、世界共通で売られているハンバーガーの価格を比較することで、各国の購買力を比較しようというものです(図表1)。
2022年1月版を見ると、日本は389円(3.38ドル)で57ヵ国中33位です。韓国は440円(3.82ドル)で27位、中国は441円(3.83ドル)で26位、タイは442円(3.84ドル)で25位と、すでにタイ、中国、韓国よりも安いことがわかります。
上位を見てみると、3位のアメリカは669円(5.81ドル)、2位のノルウェーは736円(6.39ドル)、首位のスイスは804円(6.98ドル)と、日本とは2倍を超える差がありました。
このほか、カナダは613円(5.32ドル)で7位、イギリスは555円(4.82ドル)で10位。日本と同じ389円(3.38ドル)だったのはグアテマラで、前後は、32位がポーランド396円(3.44ドル)、35 位がペルー387円(3.36ドル)となっています。
このあたりは、私たちがそれぞれの国へ海外旅行に行ったときの物価の実感と近いのではないでしょうか。
「100均指数」…“30年以上ずっと100円”なのは日本だけ
日本発の商品でも見てみましょう。日本の「100円ショップ」は世界中で展開されている巨大なグローバルチェーンです。
しかし、日本では「100円均一」として認識されていますが、商品を本当に100円で買うことができるのは実は日本だけです。某チェーンの世界各地の店舗で同じ商品の値段を比較した、いわば「100均指数」を見てみると、次のようになりました(図表2)。
アメリカ162円、中国153円、タイ214円、シンガポール158円、オーストラリア208円、ブラジル215円。どこも日本の1.5倍以上の値段です。
輸送コストや関税の問題かと思われるでしょうが、100均商品の生産地は同じですから、どこの国へも「同じ生産地からの輸出」となります。
それでもこれだけ値段に差がつくのは、ひとつには人件費が海外のほうが高いからです。つまり、モノ自体の値段に上乗せされている人件費の差ということです。
もうひとつは、「高くても買う人がいるかどうか」ということです。日本で「100均」の商品が200円になったら、買う人がかなり減ってしまうだろうと予想されます。「100均」として認知されすぎているので、なかなか値上げできないということもありますが、そのため賃金も上げづらくなっています。
100円ショップの大手企業が国内展開を始めたのは、なんと1980年代後半のことです。つまり30年以上も、100円のまま値段が変わっていないのです。
これは世界的に見るとかなり異常です。そして「値上げできない」というのは、日本のデフレ長期化にも関わる大きな問題なのです。海外の国々ではそうならないよう、日本を反面教師にしていることもあり、「100円ではない均一ショップ」になっているのでしょう。
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