雇われ店長の「あの子は頑張ってる」を信じて時給上げるも、実際の接客は「新人以下」…多店舗展開で“サービスの質”を統一する方法

雇われ店長の「あの子は頑張ってる」を信じて時給上げるも、実際の接客は「新人以下」…多店舗展開で“サービスの質”を統一する方法
(※写真はイメージです/PIXTA)

多店舗展開しているお店では、サービスや従業員の評価について、店舗によって違いが出てしまうことがあります。各店のサービスの質を向上させ、統一させるには、いったいどうすればよいのでしょうか。コンビニ7店舗を経営するフランチャイズオーナー、長瀬環氏著『儲かるコンビニのフランチャイズの教科書』(自由国民社)より一部抜粋し、フランチャイズビジネス全般における加盟店側の考え方について紹介します。

多店舗展開に必要なのは、再現性と仕組み化

少し私の恥ずかしい話をします。

 

店舗の運営を全く仕組み化ができていなかった頃の話です。

 

3号店がオープンしたのが2000年。

 

今から22年前です。1号店を母が、2号店を私が運営し、3号店は雇われ店長に担当してもらっていました。

 

当時は今のように複数の店舗を経営する方がまだ少なかったため、グループ店を経営するノウハウなどまるでなく、全て手探りでお店のマネジメントを行っていました。

 

弊社は当時グループと言っても1号店は母の色、2号店は私の色、3号店は店長の色というように、それぞれが全く違うカラーのお店になっていました。

 

1号店・2号店はどちらも経営者一族のお店なのである程度のクオリティを維持できましたが、そうではない3号店の店舗レベルは高いものではありませんでした。

 

雇われ店長には時給を決める権限も与えていませんでしたので、いくら頑張っている従業員がいても時給を上げることもできません。

 

また、査定の時期も決まっていないし、何をどうしたら昇給するのかという基準も不明確でした。

 

私達から権限を与えられていない店長が、きちんとした従業員教育をすることは難しかったでしょう。自然と従業員のモチベーションは下がり、質の低い店舗になっていました。

 

あるときその店長から「オーナー、あの子すごく頑張ってくれているので、時給上げてあげてもいいですか?」と言われ、「そっかそっか。いいよ!」と即答しました。

 

しかし、その頑張っていると言われていた従業員の接客が、私が担当している店の入ってまもない新人以下の接客レベルでした。

 

ここでハッと気付きました。私の“頑張っている”とこの店長の“頑張っている”は評価の基準が違う。

 

この店長は「シフトを休まない」「店長の言うことを聞いてくれる」が1番で、お客様に対する姿勢が1番ではなかったのです。

 

それをきっかけに私の働き方が変わっていきました。

グループの統一感を追求して進めた「仕組み化」

同じグループなのに店舗レベルの格差もあるし、従業員の待遇も違ってしまっている。

 

店長間での評価の軸もズレている。

 

これをグループとしての統一感あるものにしていこう、仕組み化していこうと。

 

まず使うツールをグループ間で統一しました。

 

シフト表はこれ、伝言ノート・作業割当用紙、評価チェックシートで良い点数取るように、などです。

 

グループのどの店でも同じものを使い、従業員の評価の方法も同じものにしました。

 

意思統一を行うための会議も始めました。

 

3店舗の店長を集めたミーティングを週1回、そこで決まったことを共有するための店舗でのパートミーティングを週1回、そしてグループ全体の方向性を共有するためパート・アルバイトを含めた全従業員参加のミーティングを年に2回実施したのです。

 

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次ページ多店舗展開における「重要なポイント」とは

※本連載は、長瀬環氏による著書『儲かるコンビニフランチャイズの教科書』(自由国民社)より一部を抜粋・再編集したものです。

儲かるコンビニフランチャイズの教科書

儲かるコンビニフランチャイズの教科書

長瀬 環

自由国民社

現在、起業の選択肢の1つとして有力になりつつあるフランチャイズ。一見、本部の下での経営は安定しているように見えますが、実際は、普通の会社経営と同じように多くの苦労を抱えています。 本書は、年商17億円・店舗数7店…

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