(※画像はイメージです/PIXTA)

生命保険大手の住友生命が、個人年金保険の一部について利率を0.65%から0.8%へと引き上げることが明らかになりました。長期金利の引き上げを反映したとみられ、他社へ波及する可能性があります。個人年金保険は税制優遇を受けながら老後の資金を準備する方法の一つですが、税制優遇の制度には他にiDeCo、NISAがあります。そこで、個人年金保険とは何か、どんなメリットがあるのか、他との比較も含め解説します。

個人年金保険とは

個人年金保険は、「55歳まで」「60歳まで」「65歳まで」などの満期までお金(保険料)を払い込み続け、満期になったらそれ以降、「年金」を受け取れる金融商品です。

 

年金の受け取り方は「確定年金」と「終身年金」から選ぶことができます。確定年金とは、「10年」など決まった期間中必ず受け取れるタイプです。これに対し、「終身年金」は、亡くなるまで一生受け取れるタイプです。

 

両者の違いは、本人が亡くなった場合の扱いと、保険料の高さです。

 

まず、本人が亡くなった場合、「確定年金」は年金受取期間が終わるまで、相続人が年金を受け取ることができます。これに対し、「終身年金」は本人が亡くなったら相続人は基本的に年金を受け取れません(ただし、「最低保証期間」が設定されており、その期間内であれば相続人が引き継ぐことができます)。

 

次に、保険料については、「確定年金」は年金を受け取れる期間が決まっているので、保険料が割安に設定されています。これに対し、「終身年金」は長生きする限り年金を受け取り続けられるので、保険料が割高に設定されています。

 

保険料が割安なのと、一定期間確実に受け取れることから、「確定年金」を選ぶ人が多くなっています。

「所得控除」を受けられる

個人年金の保険料は一部が「個人年金保険料控除」または「一般生命保険料控除」(変額個人年金保険の場合)の対象となります。所得税と住民税の両方について控除を受けられ、控除額は以下の通りです。

 

【所得税の所得控除額】

・年間保険料2万円以下:全額

・年間保険料2万円超~4万円:保険料×1/2+1万円

・年間保険料4万円超~8万円:保険料×1/4+2万円

・8万円超:4万円

 

【住民税における所得控除額】

・年間保険料1.2万円以下:全額

・年間保険料1.2万円超~3.2万円:保険料×1/2+0.6万円

・年間保険料3.2万円超~5.6万円:保険料×1/4+1.4万円

・5.6万円超:2.8万円

 

これらを考慮すると、毎月の保険料の額を7,000円程度にすれば所得控除の枠をフルに使えることになります。

iDeCo、NISAにない個人年金保険特有のメリット

このように、個人年金保険の保険料で所得控除を受けられるのは一部です。掛金全額が所得控除になる「iDeCo」と比べると、税制優遇としては見劣りするのは否めません。

 

また、「iDeCo」「NISA」よりも積立効率がどうしても低くなります。なぜなら、あくまでも「保険」なので保険会社のコストも相応に差し引かれるからです。

 

しかし、個人年金保険iDeCoやNISAにはないメリットがあります。以下の2つです。

 

・働けなくなったら保険会社が保険料を肩代わりしてくれる

・円建てなら満期まで払えば「元本保証」

 

◆働けなくなったら保険会社が保険料を肩代わりしてくれる

まず、個人年金保険の多くは、所定の就業不能状態や障害状態になったら、保険料の払い込みを免除してもらえます。つまり、働けない状態になったら、それ以後、満期までの間、保険会社が保険料を肩代わりしてくれるということです。iDeCo、NISAにはこのような機能はありません。

 

なお、死亡した場合には、基本的に、払い込んだ保険料の額よりも多い「死亡保険金」が遺族に支払われます。

 

◆円建てなら満期まで払えば「元本保証」

次に、「円建て」を選ぶ場合、「元本保証」となっています。つまり、満期までに保険料を支払い続ければ、保険料の総額よりも多くの額を受け取ることができるということです。

 

ただし、この点は諸刃の剣です。円安が進行すると、円の価値が実質的に目減りしてしまうからです。金額のうえでは元本が減っていなくても、実質的な価値が減ってしまう可能性があるということです。

 

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