トップキャリアをめざす場合、そこに至るまでの道筋にはいくつかのパターンがあるといいます。では、経営陣へのステップアップを実現するには、20~40代において、社内でどんな経験を積む必要があるのでしょうか。本稿では、東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、大手総合商社を例に挙げ、トップに至る人材が歩んでいる「王道」ともいえるキャリアについて解説します。
“差”は20代から現れ始める…「経営層」に登り詰める人が経験するキャリア上の〈3つのステップ〉とは?【転職のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

トップへの「登竜門」…避けては通れない“原則”とは?

もちろん、トップキャリアへと至る唯一の正解というものはありません。

 

ただし間違いなく重要なことは、会社のリソースでもなんでも若いうちに経営経験を積んでいることです。

 

経営経験を積んでいることは、トップへの登竜門として避けては通れない原則です。経営層をめざしていきたいという野心を持つ人は、遅くとも40代前半までにそうしたポジションに就いているかどうかというのが、1つの指標になるでしょう。

 

今回は大手総合商社を例に挙げましたが、たとえば航空会社だとまた状況は変わります。

 

航空会社には燃料の備蓄を仕切る部門がありますが、この部署は原油価格が下落している時に原油を大量に仕入れて備蓄しています。この部門は非常に権益が大きいので、この経験がない人物は経営層に入ってこないといいます。

 

一般にはあまり知られていませんが、これが航空会社ならではの異動の王道だと思います。

 

また大手証券会社には企業調査部という部署があり、ここはM&Aなどを手掛ける花形部署として知られています。経営層をめざすならここに入ったことがないと厳しいとされており、また銀行などの金融機関を見ると、財務省担当や日銀担当などが王道とされています。

 

このような異動の王道を正しく辿っていかないと、通称「人工衛星」となり、ずっと支店を回るようになってしまいます。それが悪いという訳ではありませんが、上昇志向がある人は異動の王道をめざしてほしいものです。