私、夫に守られてきたから…49歳・子どもなし&正社員経験なしの専業妻〈夫の遺族年金額〉試算結果に「これはヤバい!」【税理士が解説】

私、夫に守られてきたから…49歳・子どもなし&正社員経験なしの専業妻〈夫の遺族年金額〉試算結果に「これはヤバい!」【税理士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

子どもを持たない家庭が増えている日本。もし夫が先立ち、妻が遺された場合、遺族年金はどれぐらいもらえるのでしょうか。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

注意が必要…「遺族基礎年金」を受給できる条件

相談者:うちの夫婦には子どもがないため、将来が心配です。高齢になって介護が必要になったら、どうすればいいのでしょう。また、早くに夫を亡くしたら、その後の生活はどうなるのでしょう?

 

先生:厚生労働省の調査によれば、平均初婚年齢は男性31歳、女性29歳、第1子出生時の母の平均年齢は30歳で、初婚年齢と第1子出生時の母の年齢は、年々上昇傾向にあるといえます。それに伴い、子どもをもたない夫婦も増えているようです。いま、夫婦10組のうち1組には子どもがいない状況になっているといわれています。

 

相談者:私はいま49歳で、まさに就職氷河期世代でした。正社員での就職ができなかったので、非正規社員としてキャリアをスタートし、3歳年上の夫と結婚したのが35歳と、結婚が遅かったのです。子どもはほしかったのですが授からず、諦めました。心配なのは、夫に万が一のことがあった場合です。結婚以来、ずっと専業主婦として夫に守られてきたので、いまから自分ひとりで生きていくイメージは描けません…。

 

先生:ご主人に万が一のことがあった場合は「遺族年金」がもらえます。遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。しかし、遺族基礎年金をもらえるのは、子どもがいる配偶者か子どものみで、子どものいない夫婦の場合はもらえません。遺族厚生年金は、もらえる人に優先順位が付けられているのですが、子どものいない夫婦で、会社員だったご主人を亡くしたときは、年金をもらうことができます。

 

【優先順位:高】

・子のいる妻

・子(18歳まで、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある)

・子のいる55歳以上の夫(受給開始は60歳)

 

【優先順位:中】

・子のない妻(子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給)

・子のない55歳以上の夫

・55歳以上の父母(受給開始は60歳から)

・孫(18歳まで、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある)

 

【優先順位:低】

・55歳以上の祖父母(受給開始は60歳から)

遺族年金だけで生活しようと考えるのは、現実的ではない

相談者:私の場合、遺族基礎年金はもらえず、遺族厚生年金だけもらえるのですね。年金額はどの程度でしょうか?

 

先生:ご主人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額です。この報酬比例部分の計算では、厚生年金の被保険者期間が300月、つまり25年未満であった場合も、300月だとみなして計算してくれるところがポイントです。ご主人の給与額はおいくらでしょうか?

 

相談者:月給41万円くらいです。

 

先生:なるほど。ならば、現段階で65歳からもらえる老齢厚生年金は毎月7万円くらいです。その場合、遺族厚生年金はその4分の3なので、毎月5万円くらいになるでしょう。

 

相談者:たった5万円ですか!! ヤバすぎる…。

 

先生:それに加えて「中高齢寡婦加算」が上乗せされます。これは、ご主人が40歳以上65歳未満で亡くなった場合、子どもがいないのであれば、奥様が65歳になるまでの間、毎月5万円ほどの「中高齢寡婦加算」がもらえます。

 

[図表]子のない妻の遺族年金受給イメージ

 

相談者:それを合わせても毎月10万円ほどですね。これで安心して暮らしていくのは難しいですね、貯蓄もほとんどありませんし…。そうなると、やはり私が自分で働くしかないのでしょうね。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

★子どもがいない夫婦の遺族年金についてこちらをチェック!

【子のいない夫婦必見】遺族厚生年金と遺族基礎年金の解説と対策

 

★子どものいない夫婦で起こりやすい相続トラブルについてはこちらをチェック!

【子のいない夫婦】相続トラブル(争い)を防ぐために離婚・再婚と異母兄弟を理解せよ!

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧