日経平均株価33,000円超えも…日本株が「まだまだ上がる」といえるこれだけの理由【経済の専門家が解説】

日経平均株価33,000円超えも…日本株が「まだまだ上がる」といえるこれだけの理由【経済の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

8月28日のジャクソンホール会議で「米国株暴落シナリオ」はほぼ打ち消されました。こうしたなか、日経平均株価は33,000円を突破するなど、一部では過熱感も警戒されています。しかし、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏は、日本株について「まだまだ上がる」との見方を示します。その根拠とはいったいなんなのか、詳しくみていきましょう。

米国の「対中抑止策」が“日本復活”を後押し

米国では左右両極、共和党・民主党を問わず、中国を最大の脅威とする挙国一致の国論が成立し、対中抑止が最重要の国家アジェンダとなった。そしてそれが日本の命運を変えた。

 

トランプ政権が開始した対中抑止策は、2021年4月の菅バイデン会談での日米共同声明で初動となり、対中デカップリング、日米半導体協力から今日に至る流れがつくられてきた。菅バイデン会談の1ヵ月後にトリプルA (甘利、安倍、麻生) 3氏が主宰する自民党半導体議連が設立され、10兆円規模の投資を推進することが決められた。

 

2021年10月には世界最強半導体メーカーTSMCが投資額1兆円の熊本工場建設を決め、その完成も待たずに第二期の建設も内定している。また官民出資の最先端半導体製造会社ラピダスが北海道千歳で累計5兆円規模の投資を推進している。熊本では地価や半導体関連技術者の給与が高騰するなど、ブーム状態が起こっている。この動きは全国に広がっていくだろう。

 

日本は半導体材料で世界シェア56%、半導体製造装置で32%と圧倒的シェアを持っており、中国依存から脱却するためには、最重要拠点である。

 

特にこれからの技術革新のカギとなる後工程(組み立て)で日本の技術蓄積は世界的水準にあり、各半導体メーカーが日本詣でを始めたようである。1度は完敗した日本のハイテク産業集積は大きく再興に向けて走りだした。

 

円高で離れた世界の需要が、円安で急速に“集結”

このハイテクでの対中デカップリングと軌を一にして、円が急落している。2021年には100円台であったドル円は直近では146円へと、3割以上の急落となった。

 

米国による日本叩きの手段として、日本円は長らく異常に強い時代が続いた。1990年代から2010年頃まで、日本円は購買力平価を3割以上上回り続けたが、その結果日本は世界一の高コスト国となり産業競争力が著しく弱体化した。

 

製造業は国内工場を閉鎖し、雇用を削減し海外に拠点を移した。銀行は日本の潤沢な貯蓄を海外融資に振り向けた。円高により人も金も工場もビジネス機会も日本を離れ、日本経済に停滞が残った。日本のハイテク産業は韓国、台湾、中国に完敗した。

 

それがこの円安の結果、日本は突如、世界的低物価国になったのである。2022年のOECDによる円の購買力平価は95円、それに対して実際の為替レートは現在146円なので、円は実力よりも4割近く割安になった。円高により日本から離れた世界の需要が、円安により急速に日本に集中している。米国による円安容認がこの流れの中心にあることは、さまざまな状況証拠から明らかである。

 

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※本記事は、武者リサーチが2023年9月4日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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