老人ホーム入居者の「生活の本拠地」について
Q
老人ホーム入居と生活の本拠に係るエビデンスについて教えてください。
A
現行の質疑応答事例は比較的詳細が記載されているため、当該要件にあてはめたエビデンスを残すことを優先します。旧税制において生活本拠が争点になった代表的な裁判例で、具体的に証拠化のプロセスを検証します。
相続直前に老人ホームに入居、空き家となった家は本当に「住居」か?
【解説】(現行:質疑応答事例)
老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例(平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合の取扱い)
【照会要旨】
被相続人は、介護保険法に規定する要介護認定を受け、居住していた建物を離れて特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5)に入所しましたが、一度も退所することなく亡くなりました。
被相続人が特別養護老人ホームへの入所前まで居住していた建物は、相続の開始の直前まで空家となっていましたが、この建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当しますか。
【回答要旨】
照会のケースにおける、被相続人が所有していた建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになります。
「要介護認定などを受けた」「特別養護老人ホームに入居していた」ことが証拠になる
平成25年度の税制改正において、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等の場合であっても、
1被相続人が、相続の開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと及び
2その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等(以下「老人ホーム等」といいます。)に入居又は入所(以下「入居等」といいます。)していたことという要件を満たすとき(※下線筆者)には、
その被相続人により老人ホーム等に入居等をする直前まで居住の用に供されていた宅地等(その被相続人の特別養護老人ホーム等に入居等後に、事業の用又は新たに被相続人等(被相続人又はその被相続人と生計を一にしていた親族をいいます。以下同じです。)以外の者の居住の用に供されている場合を除きます。)については、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に当たることとされました。
なお、この改正後の規定は、平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合について適用されます。
(注)被相続人が介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人の相続の開始の直前において要介護認定等を受けていたかにより判定(※下線筆者)します。
したがって、老人ホーム等に入居等をする時点において要介護認定等を受けていない場合であっても、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていれば、(※下線筆者)老人ホーム等に入居等をする直前まで被相続人の居住の用に供されていた建物の敷地は、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになります。
租税特別措置法第69条の4第1項
租税特別措置法施行令第40条の2第2項、第3項
租税特別措置法通達69の4-7の3
現行税制は要件が明確化され、そもそも当該要件を満たさなければ適用を受けられないことから原則として証拠保全の考え方はありません。従前の質疑応答事例ベースでの係争事案は次頁の事例が代表的です。
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