たった1回のオペラ公演で、徳島県民の意識が飛躍的に向上
澤上 ある時、彼が「澤上さんのところ、オペラをやっていますね。徳島でもできますか?」と言ってきた。「できるよ。やるんか?」と訊いたら、「やってみたいで」と。それで2017年の12月に結婚式場を借りて、210人に来てもらってやった。「みんな、ビシッと一張羅で来いよ。せっかくだから」と。みんな会費を払って来るんだけど、どうせなら目一杯お金をつかえと。そしたらみんなね、タキシードとか着物とかで来た。俺だけ背広でちょっとカッコ悪かった。
渡部 あはは。
澤上 みんな、レベルの高い方向でお金をつかう面白みを知ってね、それで「また来年もやりましょう」「やるやる」となった。それで2年もやったら、オペラコンサートを観客席で楽しんでいた人たちが、「私たちも、合唱とかで舞台に上がりたくなりました」と言う。
「おお、いいじゃないか。やれよ」と答えた。けれども、俺のところは音楽レベルは絶対に妥協しない。したがって、舞台に上がるのは大歓迎だけれども、一年間、特訓するぞと。
特訓して舞台に上がれと。「年の前半は月に1回、後半は月に2回、うちから専門家を送り込むから、彼について特訓だ!」と。彼ら彼女らは「やります!」と答え、本気でやり始めた。それまで素人だったのに、一年間の特訓で、レベルがすごく上がったのよ。「お! 私たちできちゃった!」と言って、充実感が湧いていく。達成感があり、またやりたくなる。
渡部 すごいですね。
澤上 3年目、4年目もますます盛り上がって特訓に励んだ。それもあって、レベルはどんどん上がっていった。合唱団に参加する人たちはどんどん増え、100人近くになってきた。
そしたら、「バレエもやりたい」と言うから、「やれ! やれ!」だ。そして特訓。こんな盛り上がりで、みんな毎月なんだかんだと、お金をつかうからね。一つのイベントのために、一年間、つくり込みをしていくわけよ。こんなふうに、みんながお金をつかうことにより、地域は活性化して元気になっていくわけよ。
長期投資の醍醐味とは
そういう流れが、徳島では「もう止まらない」といった勢いとなってきているわけ。昨年の12月の本舞台でも、100人ちょっとが、プロのオペラ歌手に混じって素晴らしい舞台をつくってくれた。これが、主催している自分が驚くぐらい、立派にできているわけ。びっくりするぐらいうまくできていた。
渡部 これも長期投資なんですね。
澤上 やっている人たちも楽しくなってくるし、見る人たちも楽しくなる。知り合いがいっぱい出ているからね。みんなが楽しみながら、お金をつかう。遊びじゃなく、本気でやる。そうすると、地域が活性化する。これが文化であり、長期投資の醍醐味なんよ。
澤上 篤人
公益財団法人 お金をまわそう基金
代表理事
渡部 清二
複眼経済塾
代表取締役塾長
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】