本調査のポイント
カーシェア市場全体の顧客満足度…過去最高を更新、初の700点台に
本年調査の顧客満足度は、2017年の調査実施以来、過去最高を更新した。総合満足度スコアは初回調査(2017年3月発表)での652ポイントから年々向上し、初の700点台の評価を得た。
ファクター別の評価でも、「各種料金」、「サービスメニュー」、「車両」、「予約(ウェブページ/モバイルアプリ)」、「コールセンター」の全ファクターで、過去最高のスコアとなっている。初回調査から満足度の向上幅が最も大きかったのは「コールセンター」、次いで総合満足度に対する影響度が最も大きい「各種料金」であった。
月々の平均支払い額(基本料金と利用料金等の合計)をみると、「5,000円以上」支払っていた層は初回調査では1割台にとどまっていたが、本年では26%まで増加しており、カーシェアの市場規模が着実に拡大していることがうかがえる。
6年前より月々の支払い金額が増加したなかでも、「料金体系がわかりやすい」、「利用料金が妥当」といった声は強まっており、ユーザーが納得感を持ってカーシェアを利用できていることが「各種料金」ファクターの評価向上につながっていると推察される。
ロイヤルティ向上には「突出して高い」顧客満足度が必要
カーシェアの総合満足度は初回調査より右肩上がりに向上してきたが、今後の利用意向ならびに推奨意向といったロイヤルティは課題を残す結果となった。本年調査では、今後も利用を継続したいという強い継続意向を示すユーザーは36%、他者に推奨したいという強い推奨意向を示すユーザーは25%で、この割合はこの3年では、ほぼ横ばいとなっており、総合満足度のような向上トレンドにはない。
この要因としては、総合満足度とロイヤルティは比例関係にあるものの、総合満足度が一定水準を超えて初めてロイヤルティが大きく上昇する関係にあることが挙げられる。具体的には、総合満足度が800点以上になると、いずれの意向においても最も強い意向を示す「そう思う」の割合が700点台以下のユーザー層と比較して大幅に増加する。
顧客ロイヤルティを向上させ、既存ユーザーの維持ならびに新規ユーザーの獲得を促進するためには、突出した高い満足度が必要であり、今後も顧客満足度のさらなる向上に向けた取り組みを継続していくことが重要であるといえる。
空車不足の解消が顧客満足度向上のカギ
顧客満足度の一層の向上のために、カーシェア利用時におけるネガティブ体験を減少させることが重要である。本調査では、カーシェア利用時になんらかのトラブルを経験している人の割合は83%と依然として8割を超えていることが確認できた。
具体的に普段のカーシェア利用におけるトラブル体験を聞くと、「利用したいステーションに空車がなく、違うステーションで探さなければいけなかった」、「空車がみつからず、利用をあきらめた」といった空車不足によるトラブルを約3分の2のユーザーが体験していることがわかった。車両の増加やステーションの拡大は各社が取り組んできたところである。
一方で、カーシェア市場の順調な拡大による利用者の増加や利用頻度の高まりが、ユーザーに空車不足を感じさせることの背景にあるものと推察される。こうしたユーザーの要求水準の高まりや市場の拡大に供給面で適切に対応し、ステーションの利便性や車両数といった「サービスメニュー」ファクターの評価を高めていくことが、総合満足度の一層の改善につながるものと考えられる。
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