(※画像はイメージです/PIXTA)

税制優遇を受けながら老後の資金を積み立てる手段の一つに「個人年金保険」がありますが、「iDeCo」や「NISA」の制度を利用して投資するのと比べ、税制優遇の面でも運用効率の面でも、見劣りするといわれています。しかし、あまり知られていませんが、実は個人年金保険には「iDeCo」にも「NISA」にもない特別なメリットがあります。本記事で解説します。

個人年金保険のしくみ

まず、個人年金保険がどんなものか解説します。個人年金保険は「60歳まで」「65歳まで」などの満期を設定して毎月お金(保険料)を積み立て、満期がきたら、そこまで積み立てられたお金を原資として「年金」を受け取れる保険です。

 

保険料の一部が「生命保険料控除」(個人年金保険料控除等)の対象となり、税制優遇を受けられます。

 

特に人気があるのが、利率が高い米ドルで運用される「米ドル建て個人年金保険」と、投資信託で運用され大きく増やせる可能性がある「変額個人年金保険」です。詳しくは後述します。

 

◆個人年金保険で受けられる「所得控除」の額

個人年金保険の保険料は「生命保険料控除」の対象です。控除を受けられる額は、所得税と住民税のそれぞれで以下の通りです。

 

【所得税の所得控除額】

・年間保険料2万円以下:全額

・年間保険料2万円超~4万円:保険料×1/2+1万円

・年間保険料4万円超~8万円:保険料×1/4+2万円

・8万円超:4万円

 

【住民税における所得控除額】

・年間保険料1.2万円以下:全額

・年間保険料1.2万円超~3.2万円:保険料×1/2+0.6万円

・年間保険料3.2万円超~5.6万円:保険料×1/4+1.4万円

・5.6万円超:2.8万円

 

年間8万円程度(月々7,000円程度)を積み立てれば、所得控除の枠をフルに使えるということです。

 

なお、「米ドル建て個人年金保険」は「個人年金保険料控除」の対象ですが、「変額個人年金保険」はふつうの生命保険と同じ「一般生命保険料控除」の対象なので、注意が必要です。

個人年金保険で人気がある「2つの商品」

個人年金保険の商品で人気があるのは、主に「米ドル建て個人年金保険」と「変額個人年金保険」です。それぞれについて概要を説明します。

 

◆米ドル建て個人年金保険

「米ドル建て個人年金保険」は、利率が高いアメリカ国債で運用されているため、積立効率が高くなっています。ただし、為替相場が「円高ドル安」に大きく振れると、円換算の金額が目減りする可能性があります。「為替リスク」とよばれるものです。

 

これについては、長期間、毎月淡々と一定額を積み立てることで、「リスク分散」ができます。たとえば、保険料を毎月1万円払い込むとすると、「1ドル133円」の月は約75.2ドル、「1ドル110円」の月は約90.1ドルが積み立てられることになります。

 

これを長期間続けると、その間の米ドルの平均値で購入したのと同じ効果が得られます。結果として、最終的には、為替リスクが分散され、お金を大きく増やせる可能性が高くなります。

 

◆変額個人年金保険

次に、「変額個人年金保険」は、株式や債券等の投資信託のなかから、自分で運用方法を選ぶことができます。組み合わせたり、組み換えたりすることもできます。近年、運用方法で人気があるのは、今後も安定した成長が続くと期待されている「アメリカ株式」「先進国株式」「世界株式」等です。

 

「変額個人年金保険」にも相場変動により損をするリスクがあります。しかし、「米ドル建て」と同様、毎月一定額を長期間にわたって支払い続けることで、リスクを抑えることができます。

 

ただし、これらは「iDeCo」「NISA」と共通の性質で、あえて「個人年金保険のメリット」というには至りません。また、保険である以上、手数料がそれなりに差し引かれるので、その分、積立効率が低くなってしまうことは否定できません。

 

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