消費税がかからない取引は「消費税申告」から除外する
◆課税されない3つの取引を知ろう
消費税の申告をする際には、「消費税がかからない取引」を除外して計算する必要があります。そこで、消費税がかかる取引とかからない取引の違いを確認していきましょう。
まず、消費税がかかる取引(課税取引)にあたるのは、①日本国内において行う取引、②事業者が事業として行う取引、③対価を得て行う取引、④資産の譲渡・資産の貸付・役務の提供という、4つの要件を満たした取引になります。
一方、消費税がかからない取引にあたるのが、「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」の3つです(下記の見出し「課税されない3つの取引」を参照)。
前述の①〜④の要件を1つでも満たさないものについては「不課税取引」となり、消費税は課税されません。また、本来は課税取引になるはずのもので、消費税の主旨になじまないものなどは「非課税取引」とされます。そして、商品の輸出など外国で消費されるものは「免税取引」として、やはり消費税がかからない決まりになっています。
不課税取引と非課税取引は仕入税額控除の対象外ですが、免税取引の場合は仕入税額控除の対象になるという違いもあります。
このように、消費税がかかる取引・かからない取引の違いを理解していないと、消費税の計算が正しくできません。帳簿付けにも関係してくるので、きちんと把握しておくことが大切です。
◆課税されない3つの取引
不課税取引
給与、寄附金、助成金、保険金、海外で行われる取引
非課税取引
土地の売買、住宅の賃貸、有価証券取引、商品券・切手・印税・証紙、保険料、学校の入学金・授業料など
免税取引
輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスの提供など
◆課税取引とそれ以外を判別する
控除を受けるための帳簿の基になる「経費帳」を作成する
◆帳簿は会計ソフトを使うようにしよう
所得税・消費税のいずれの確定申告でも帳簿を付けて保存する義務があります。とはいえ、確定申告ごとにバラバラに帳簿を付ける必要はありません。1つの帳簿で管理すればOKです。
まずは帳簿の基になる経費帳を付けましょう。記載すべき項目は、①取引年月日、②取引先の氏名または名称、③取引内容(軽減税率の対象品目がわかるように)、④金額の4つです。
「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」に該当するものは、備考に(不)(非)(免)などとわかるようにメモすること。自動販売機で買った飲み物代など、インボイスなしで仕入税額控除ができる特例に該当する取引は、場所を記入し、備考に特例についてメモしておくとよいでしょう。
また、軽減税率(8%)に該当するものを判別できるよう工夫します。図表1の例では税区分欄を作り税率を一目でわかるようにしています。該当の取引に※印などマークを入れ、帳簿の欄外に「※は軽減税率対象」と記載する方法も簡単です。
なお、経費帳は補助簿の一種で、主要簿として「仕訳帳」や「総勘定元帳」が必要です。簡単に間違いなく付けるには、会計ソフトを使うのがおすすめ。簿記や会計の知識がない初心者でも簡単に作成できるようになっていて、ほとんどのソフトがインボイス対応です。一定期間は無料でお試しできるものが多いので、自分に合ったものを見つけましょう。
◆帳簿の基になる「経費帳」の記入例
➀取引先の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目に印などを付ける)
④金額
◆帳簿(仕訳帳、総勘定元帳)を付ける会計ソフトの例(個人向け)
酒井 富士子
経済ジャーナリスト
西原 憲一
西原会計事務所 代表/税理士