(※画像はイメージです/PIXTA)

電気代が高騰するなか、9月に電気代等の「負担軽減策」が終了します。しかも、消費税の「インボイス制度」が2023年10月から施行されると、さらなる電気代の値上がりが見込まれます。どういうことでしょうか。問題点とともに解説します。

インボイス制度の施行で電気代が値上がりする理由

◆消費税の「インボイス制度」とは

なぜ、インボイス制度が施行されると電気代値上げにつながるのでしょうか。まず、前提として、消費税のインボイス制度がどういうものか説明します。

 

消費税は、「事業者」が納税義務を負っています。ただし、年間売上高1,000万円以下の事業者は「免税事業者」であり、納税義務を負いません。

 

消費税の計算方法には以下の2種類があります。

 

・仕入税額控除(本則課税)⇒年間売上高5,000万円以上の事業者

・簡易課税制度⇒年間売上高5,000万円未満の事業者

 

仕入税額控除は、「売上金額」に含まれる「消費税相当額」から、「仕入額」に含まれる「消費税相当額」を控除し、その額を納税するというものです。

 

インボイス制度はこの「仕入税額控除」に関するルールです。仕入税額控除を行うには、仕入をした際に「消費税相当額」を支払ったことの証明として、仕入先からインボイス(適格請求書)を受け取る必要があるのです。

 

問題は、このインボイスを発行できるのが消費税の「課税事業者」のみだということです。前述した免税事業者(年間売上高1,000万円以下)は「インボイス」を発行できないのです。

 

◆電力会社が「仕入税額控除」できない分を電気代に転嫁

インボイス制度によって電気代の値上がりが発生する理由は、「FIT(固定価格買取制度)」にあります。

 

「FIT」は、太陽光発電設備によって発電された「余剰電力」を、電力会社があらかじめ決まった価格で買い取る制度です。大手電力会社はすべて売上高5,000万円を優に超えるので、消費税の計算方法は「仕入税額控除」です。

 

これに対し、「FIT」で余剰電力を電力会社に販売する「売電業者」には、消費税の「免税事業者」です(一般家庭の場合はそもそも事業者ではないので、インボイス制度は問題になりません)。

 

したがって、インボイス制度が施行されると、電力会社は、電力を買い取る際に、免税事業者である「売電業者」からインボイスを受け取れず、「仕入税額控除」ができなくなってしまうのです。

 

これによって、電力会社には損失が発生することになります。「仕入税額控除」ができないことにより、その分にかかる消費税額を余分に納税しなければなりません。

 

その損失を「電気料金値上げ」によってカバーすることが検討されています。それは、電気料金の一部である「再エネ賦課金」(再生可能エネルギー発電促進賦課金)に上乗せする方式です。

 

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