(画像はイメージです/PIXTA)

仮に退職後30年生きると考えたとき、老後資金は年金に頼っただけでは「2,000万円も不足」してしまいます。「公認会計士である土田義憲氏の著書『社会人になったら知ってほしい 人生のお金の話』(ロギカ書房)より、一部抜粋して紹介する本連載。今回は、老後資金の積立方法について、利用できる様々な制度を紹介します。           

転職を繰り返す人にとっての「確定拠出年金」

退職一時金や確定給付年金は、会社に長期間勤務すると支給額が増える仕組みになっているので、長期間勤務する人に有利な制度です。しかし現代では、キャリア・アップのために生涯で2~3回の転職を繰り返す人もいます。そういう人にとっては、あまり有難くない制度です。

 

これに対して確定拠出年金では、会社が拠出した掛金とその間の運用収益はサラリーマン自身のものです。転職して会社を替わるときでも、それを自分のものとして持ち続けることができます。

 

そのため確定拠出年金は、転職を繰り返しながらキャリアを築いていく人の勤務に向いていると言えます。新しい知識やスキルを持っている人材を求めている会社でも、人材の流動化を高めるために積極的に確定拠出年金の制度を導入しています。

確定拠出年金は“確定給付年金を上回る”

2022年11月16日の日本経済新聞の記事によると、2022年3月末においては、会社が掛金を拠出する確定拠出年金の加入者は782万人です。加入者本人が自ら掛金を拠出する個人型の確定拠出年金の加入者は約239万人で、合計1,021万人です。これは、確定給付年金の加入者943万人を上回ります。

自分の退職給付制度の確認

サラリーマンの退職給付制度を一覧表にすると、以下のようになります。

 

[図表3]主な退職給付制度

 

退職一時金や確定給付年金に加えて確定拠出年金を導入している会社もあれば、退職一時金や確定給付年金に替えて確定拠出年金を導入している会社もあります。他方、退職一時金や確定給付年金はおろか、確定拠出年金の制度もない会社もあります。つまり、退職にあたって特別な給付は一切ないという会社です。このような会社では、毎月の給与を高めに設定して“退職金は給与に織込み済み”と説明しています。

 

私たちは、就職あるいは転職した会社が、どのような退職金制度を導入しているのか、退職後にどれくらいのお金がもらえるのかを、しっかりと確認しておく必要があります。退職給付制度がない会社に勤務するサラリーマンは、イデコ個人年金保険、積立定期預金、財形年金貯蓄などを利用して、退職後の生活資金を確保する必要があります。

 

 

土田 義憲

公認会計士

社会人になったら知ってほしい 人生のお金の話

社会人になったら知ってほしい 人生のお金の話

土田 義憲

ロギカ書房

お金を稼ぐ、お金を使う、お金を貯める、お金を増やす 長い人生、 君らしくいきるために お金との上手な付き合い方を学ぶ。 【内容】 私たちは社会で生きていくために様々な活動をします。その1つが経済活動です。経…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧