売り込むにはまず「お客様の警戒心を解くこと」が重要
⇒「お客様の心理に合わせた順番」でトークを構築
ショッピングモールに行った時のことです。何気なくお店を見ながらフッと「もうひとつくらい仕事用の新しいカバンがあってもいいな」と思うようになりました。
思いつきなので「こんなカバンが欲しい」といった明確なイメージはありません。いろいろなカバンを手に取ってみていましたが、どれも決め手に欠けます。いろいろと見過ぎて迷ってしまったのです。
そんな時のこと。一人の店員さんが近づいてきて「いろいろ検討されて、どれがいいか迷っているのではないですか?」と言ってきたのです。
まさにズバリです。このトークの仕組みを知っていても「この人は私のことをわかってくれる」という気持ちになりました。結局、この店員さんがおススメしてくれたカバンを購入したのです。
私は“トーク設計図”という営業ツールをおススメしています。
トーク設計図とはお客様の心理に合わせた順番でトークを構築していきます。基本的には以下のように進めていきます。
【簡潔に自己紹介→共感を得るためのトーク→警戒心を解くトーク】
これを活用することで、いきなり売り込んでお客様を逃がすことがなくなります。また部下や後輩を指導する際にも、ツールがあるとやりやすいのです。
トーク設計図では“お客様から共感を得る”といったことが重要になってきます。
私はモデルハウスで「先ほどのお客様は“いろいろ説明されてゆっくり見学できなかった”と言っていましたが、お客様もそうですか?」といったトークをしていました。これを言うことで、「この人は私のことをよく理解してくれている」といったイメージを与えられたのです。
お客様は警戒心を持っています。警戒しているうちはどんなトークも機能しません。まずは「この人はよく気持ちを理解してくれる」と思ってもらえるトークをする。鉄板ですが効果抜群です。
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<ワンポイントアドバイス>
どうしたらお客様の警戒心が解けるか? という視点でトークを考えてみる
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新規のお客様とも短時間で距離を縮めるワザ
⇒出会ったら5分以内にお客様の名前を5回言う
営業スタッフとして“お客様とすぐに打ち解ける”といった能力はあるに越したことはありません。一瞬で関係を構築して本音を聞ければ、契約へ最短距離に向かえます。ただそれが難しいのです。
ダメ営業スタッフ時代、よく上司から「お客の懐に飛び込んで仲良くなればいいんだ」と言われたものです。こちらの商品を気に入っているお客様ならまだしも、信頼関係が構築できていないお客様と仲良くなるなんてどう考えても不可能のように思えました。
そんな中、新規のお客様とすぐに仲良くなる後輩がいました。その後輩に秘訣を聞くと「とにかくお客様の名前を何回も呼ぶ」というのです。
例えばお客様が“中田”と書いたとします。それを見て「中田(なかた)さんとお読みするのでよろしいですか?」と確認します。
“中田”であっても“なかた”と“なかだ”と濁点があるかないかを確認したほうが無難です。私は“きくはら”ですが、時々「きくばらさん」と呼ばれることがあります。濁点であっても間違って呼ばれると、あまりいい気分はしないものです。
名前の読み方を確認したら「中田さん、こちらのデータですが…」と意識的に名前を呼ぶようにします。このようにしていくと自然と距離が縮むというのです。
このワザを教えてもらった後、自分の中で“5分以内に5回名前を呼ぶようにする”といったルールを設定しました。それからちょっと気難しいお客様とでも打ち解けることができるようになったのです。
新規のお客様と出会ったら“意識して5回”は名前を呼んでください。お客様の名前を呼べば呼ぶほど覚えられますし、距離感もグッと縮まります。
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<ワンポイントアドバイス>
名前の正確な読み方をしっかりと確認してから呼ぶ
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菊原 智明
営業サポート・コンサルティング株式会社 代表取締役
営業コンサルタント、関東学園大学経済学部講師、一般社団法人営業人材教育協会理事
群馬県生まれ。大学卒業後トヨタホームに入社し、営業の世界へ。「口ベタ」、「あがり症」に悩み、7年もの間クビ寸前の苦しい営業スタッフ時代を過ごす。「対人恐怖症」にまで陥るも、“訪問しない” “お客様に望まれる”営業スタイルを確立。突如、顧客の90%以上から契約を得て、4年連続トップの営業スタッフに。約600名の営業スタッフの中においてMVPを獲得。2006年に独立。営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。現在、経営者や営業スタッフ向けのセミナー、研修、コンサルティング業務を行っている。
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