東京の「真夏日」、今年は「過去最多日数」となる可能性大
~8月15日時点で「54日連続」真夏日。過去最長の「71日間」を更新するか
東京の8月15日午前11時の気温は30.7℃を記録しました。これで今年の東京の真夏日は8月15日で7月6日から41日連続となり、2004年の7月6日から8月14日までの40日連続の最長記録を更新しました。真夏日とは、その日の最高気温が30℃以上となった日のことを言います。今年の夏の暑さが異常であることを示唆する数字のひとつです。ちなみに、東京の真夏日が最多日数だった年は2010年で71日間でした。今年は8月15日現在(※執筆時点)で54日間です。あと18日真夏日になると年間最多日数を更新します。
なお、東京でこれまで真夏日が発生した時期は5月から10月までの期間になります。最近5年間を見ても、10月上旬に真夏日が発生4回発生しています。2018年は10月1日と10月7日がともに最高気温が32.3℃になりました。2019年は10月1日に最高気温が30.1℃に、2021年は10月2日に最高気温が30.1℃になりました。今年7月25日に発表された3ヵ月予報で、10月の東日本の気温は「高い」という予測です。今年も10月まで真夏日が発生し、真夏日の年間最多日数を更新する可能性がありそうです。
猛暑でも電力不足は生じず
~「電力の供給不足」は景気リスク要因のひとつだが…
足元の景気のリスクについて「ESPフォーキャスト調査」では、今年は3ヵ月に1度のペースで景気リスクに関する特別調査を行っています。23年7月での最大の景気リスク要因は「米国景気悪化」で、22年7月から6回連続で1位でした。
「ESPフォーキャスト調査」では景気のリスク要因として、「電力の供給不足」の選択肢も用意してありましたが、23年7月調査で選んだエコノミストは一人もいませんでした。
気象庁「7月の天候」によると、「気温は、北日本を中心に暖かい空気に覆われやすかったことや、東・西日本と沖縄・奄美を中心に太平洋高気圧に覆われ晴れた日が多かったため、北・東日本でかなり高く、1946年の統計開始以降で7月として北日本では1位の高温となりました。また、西日本と沖縄・奄美で高くなりました」ということです。記録的猛暑の状況ですが、電力不足の声は聞こえてきません。
ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰、OPECプラスの生産調整、円安などから、電気代が高めに推移してきています。対応策として節電が進んだようです。
~省エネが進み、23年1月~7月の「東京エリアの各月の最大電力」は全て“昨年以下”
東京電力パワーグリッド「でんき予報」から、東京エリアの各月の最大電力(その月の最大電力発生日の最大電力実績)を調べてみると、今年は1月から7月まで、全ての月で前年22年を下回っています。ちなみに7月の最大電力実績は7月18日14時~15時の5,525Kwでした。電気代が高いことから様々な省エネがなされているようです。8月も14日まででは最大電力実績は8月4日13時~14時の5,475Kwで、22年8月の最大電力実績8月2日13時~14時の5,930Kwを下回っています。
また、貿易統計の原粗油の輸入数量の前年同月比は5月▲6.7%、6月▲14.8%、7月上中旬の前年同旬比は▲11.4%と減少が続いています。原粗油に対する需要が減少していることを裏付ける数字のひとつと言えるでしょう。
※本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。 さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。 23年4月からフリー。景気探検家として活動。 現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。