売掛代金は集金よりも「振込」に
◆代金回収は「安全・省力化・コスト削減」等を考慮すべし
昔の商店では日頃はツケで販売し、月末に、場合によっては盆・暮れに集金に行く、というような掛けによる販売方法をとっていました。商店も貸し倒れや、入金遅れの金利を見込む等して、多少値段を高く設定して販売していました。
しかし、その後、近代的販売方法と集金方法が急速に発展していきます。その代表が、インターネット販売やネット振込、カード決済、クレジット決済等です。自社で長期の掛け売りをするということは少なくなりました。
この売上代金の回収方法ですが、現金販売、掛け売り月末現金集金、掛け売り小切手集金回収、掛け売り手形集金回収、掛け売り振込回収等、さまざまな商習慣があります。
現金販売が一番ですが、得意先との取引条件もあるため、こちらの都合を押し通すことはできないでしょう。売上代金回収で重視すべきポイントは次の通りです。
①商品販売と代金回収の時間が短いこと
②代金に貸し倒れが生じないこと
③代金回収時に盗難や紛失等の事故が起きないこと
④代金回収に人件費等の回収コストがかからないこと
⑤代金回収の記録を残すこと
①と②は相関関係です。商品販売と代金回収との期間が短ければ貸し倒れが少なくなります。
これらの条件を最大限満たす現実的な回収方法、それは銀行振込での回収です。
得意先が小切手や手形での支払を希望した場合でも、金利分を割引く等して、早期の振込回収にしていきましょう。
また集金に回るのも人手と時間がかかります。振込手数料をこちらが負担しても、回収にかかる時間や人件費、交通費、印紙代等を考えれば安いものです。事故や盗難の心配もありません。
安全、省力化、コスト削減等の効果から代金回収は、銀行振込による方法を採用しましょう。
さらに普通預金に振込まれた記録は得意先名の記載があり、そのまま売掛金の回収記録となります。一石二鳥どころか三鳥四鳥のいいことずくめです。
現金売上もすべて「普通預金」に入金する
◆売上等を普通預金に入れれば、現金出納帳がスッキリ!
現金商売をする会社の場合、通常、現金売上を現金出納帳に入金記帳し、経費を現金出納帳から支払います。
ただ、入出金取引を日々記帳することは、正直なところなかなか手間がかかります。
また、売上代金等の多額の現金が会社の中にあることは防犯上も問題です。
そこで、普通預金通帳に現金出納帳の役割を分担してもらいましょう。
1日の売上を1円単位まですべて普通預金に入金します。毎日毎日入金します。土曜日、日曜の売上等も、月曜日に曜日別に分けて入金します。
入金したら普通預金の印字された金額の横に「10日売上」とメモ書きしておけば後で集計するときにスムーズです。
経費の支払も極力自動引き落としにして、大口のものは普通預金から直接振込払にします。そして、必要最小限の現金を事業所に置くようにします。
下記の[図表2][図表3]、現金出納帳で売上等の入出金を記載しているケースと、普通預金に売上等を入れているケースの、現金出納帳及び普通預金通帳の記載を比較した例を紹介しました。
普通預金に売上等を入れると、現金出納帳が非常にすっきりすることに気づいてもらえると思います。必要最低限の出費だけ残り、あとは普通預金帳に記載されたわけです。
つまり、それだけ現金出納帳への記帳の手間が省けているということです。
この方法は、銀行があなたの会社の帳簿の一部をつくってくれるようなものです。
普通預金をうまく活用して効率的に経理を行いましょう。
山端 康幸
東京シティ税理士事務所
代表税理士