「領収書のない支払」も経費にできる!
◆出金伝票を切って「領収書の代わり」に
経費として支払った金額を税務上の損金として落とすためには、原則として領収書を大切に保管しておく必要があります。
領収書は実際に経費として支払っていることを証明する書類ですから、これがあれば万が一税務署の調査が入ったときでも安心です。
その一方で、支払の際に領収書がもらえない経費も少なくありません。
例えば、
●移動時の電車賃、バス代
●自動販売機で購入した物品代
●香典、祝い金等の支払
等です。
これらの領収書のない支払は一切損金とすることができないのでしょうか。
安心してください。事業のために使ったのですからもちろん損金とすることができます。
しかし、実際に支払ったところを第三者が見ていて証明してくれるわけではありませんから、それなりの信憑性を持たせなければなりません。
領収書のない支払をしたつど、出金伝票をおこし、領収書の代わりにするのです。
出金伝票に日付、金額、支払先を正確に記入し、内容についても明らかになるようにきっちり記入しておきます。この出金伝票を領収書の代わりとして保管しておくのです。
後で金額等がわからなくならないように、支払のつど、忘れずに記入する癖をつけることが大切です。
さらに、交通費等であれば、精算の明細に業務の内容を記載した業務日報等も合わせて保管しておけば、証拠書類としては十分です。
慶弔の支払については礼状や案内状等があればこれらも証拠書類となります。一緒に保管しておきましょう。
また、領収書のない支払はほとんどが現金での支払でしょうから、その現金支払は現金出納帳に記載されます。現金出納帳にも詳細を記載してあれば、時間的経過が明瞭ですからさらに証拠能力が増します。
代金の受領は「振込」がお勧めのワケ
◆領収書の印紙代はばかにできない!
経費を税務上の損金として落とすために、領収書を保管しておくことが重要だと述べました。
それは得意先のお客様にとっても同様です。売上の代金を受け取ったときには、こちらが領収書を渡さなければいけません。
この領収書の記載金額が5万円以上になる場合には印紙をはります。
領収書にはる印紙の金額は以下の図表3のように定められています。この印紙代も積もり積もれば結構な金額になります。そこで、領収書の印紙についても節税の方法を考えましょう。
◆振込を活用して領収書を発行しない方法があります
①消費税込の総額を記載すると、この総額に印紙税がかかります。消費税を別記すれば税抜の記載金額で印紙税の判定ができます。
②代金を数回に分けて受領したものを1枚の領収書で済ませます。
③領収書を交付しないという方法もあります。銀行振込を活用するのです。売掛代金については振込による回収とし、お客様の手元に残る振込書が領収書の代わりになることをお客様に了承してもらいます。印紙が節約でき、こちらで領収書を作成する手間も省けます。
仮に500万円の売上代金につき、領収書を発行すると1,000円の印紙がかかります。これを振込にしてもらうと不要になります。一方で、お客様は振込手数料がかかるので、振込手数料差引で振込んでくる場合もあります。それでも通常、振込手数料の方が印紙税より安くなります。
山端 康幸
東京シティ税理士事務所
代表税理士