国税職員が「調査相手の暮らしぶり」を気にするワケ
国税職員が調査相手の暮らしぶりに目を向けるのは、遺産の金額を推測するヒントになるからです。
たとえば「被相続人が死亡する3年前に、不動産を売って1億円を手にした」という情報を得ていたとしましょう。すると、国税職員はその1億円が死亡日にどれくらい残ったかを推測するために、生活費などをヒントにします。
だからといって、いきなり「毎月の生活費の支出を教えてください」といっても警戒されますから、亡くなった被相続人の通帳を見せてもらったり、趣味を聞いたりしながら、生前のお金の使い方を推し量ろうとするのです。
話を聞いて豪華な生活をしていることがわかれば、「生前に財産を使い切ったのだな」「これ以上調べても相続税の申告漏れ財産はなさそうだ」と納得するのですが、そのようなケースは稀(まれ)です。
むしろ、年金や不動産賃貸などによる収入以内に生活費を抑えて、亡くなる直前まで資産を増やし続けていたケースが少なくありませんでした。
「お金を稼ぐ」ことが富裕層の条件と思われがちですが、「お金を守る」ということにも力を入れなければ、富裕層として生涯を終えることは不可能です。
電話代のような細かい費用であっても、徹底して支出を避ける意識こそが、富裕層の第一条件なのかもしれません。
小林 義崇
マネーライター
Y-MARK合同会社代表/一般社団法人かぶきライフサポート理事
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