失敗の原因を考察
それでは失敗の原因をリストアップしていく。
「ITプロジェクト版失敗原因マンダラ図」から全ての失敗原因を抽出する
※「ITプロジェクト版失敗原因マンダラ図」とは…筆者が所属している失敗学会は、失敗の原因を構成する要素を分類して関連を階層ごとに図示した「失敗まんだら」を提唱している。仏教で悟りの世界や仏の教えを示した図絵である連関図にヒントを得て、失敗原因に関わる全ての要素や関連、位置づけを一覧できるようにしたもの。この失敗マンダラをITプロジェクト向けに改変したもの。
以上、全ての原因について考察したあと、「ITプロジェクト版失敗原因マンダラ図」に丸をつけてみると下記のようなイメージ図となる。下図のように13項目が選定される。
真の失敗原因を特定する
<直接的な問題点>
少額決算顧客を対象としていたため、コロナ禍で決済の件数が伸び悩んだ結果、必要な手数料収入が確保できなかった。従来のインフラからの脱却が短期間で実現できなった。
■筆者が考える今回の問題点
①既存インフラを捨てて、正しいインフラ環境に乗り換える企業が以外に少ないことを想定できなかった。【間違った顧客志向】
②事業計画時にパンデミックなどの経済変化を織り込まずに事業を開始した。【想像力不足】
■筆者が考える対応策
①多くの企業は初期の開発コストに着目しているが、必要なシステムライフサイクル年数分の維持コストを想定した事業計画を策定すること。
②パンデミックなどの経済変化を想定し「回避策」を設定するなど、リスクへの事業負担を最小限にする回避手段を事前に設定した コンティンジェンシープランを事前に作成し、定期的にリスク点の見直しを行う。
ビジネスモデルの柔軟性のなさが一番の失敗要因
今回、本件の報告書で発表されたものと「ITプロジェクト版失敗原因マンダラ図」から真因を考察した結果からは、ビジネスモデルに柔軟性がなかったように感じる。
考え得るできるだけ多くのケースを作り、メリット・デメリットを考えていく中で、新しい展開や、他社との協業や、技術移転からM&Aまで幅広く検討しながら進めていくことを勧める。
佐伯 徹
特定非営利活動法人失敗学会
理事
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