(※写真はイメージです/PIXTA)

「代襲相続」とは、相続人が先に亡くなっている場合に、その子ども等が代わりに財産を相続することです。ただし、被代襲者の代わりに誰でも代襲相続人になれるわけではありません。本稿では、なかしま美春行政書士事務所の特定行政書士兼相続診断士である中島美春氏監修のもと、「代襲相続」について、基本的な知識とともに、代襲相続できる範囲をケースごとに解説します。

代襲相続で起こりやすいトラブルと注意点

代襲相続人になる人は、被相続人や他の相続人の方々とあまり面識がない場合もあり得ます。ここではトラブルになりそうなケースを取り上げ、対処法を紹介しましょう。

遺産分割後に、代襲相続人が相続権を主張してきた

このケースは相続人が誰かをしっかりと確認しなかったために起きたトラブルです。被相続人の相続人がたとえ配偶者と子供だけと思っていても、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を必ず確認しましょう。

 

例えば被相続人に離婚歴があり、元配偶者との間に子供がいて相続時に、その子が死亡していても、元配偶者の子供に相続権がある以上、その子供の子供は代襲相続人となります。

 

この確認をせずに遺産分割が行われた後で、代襲相続人が相続権を主張してきた場合、遺産分割をやり直さなければなりません。相続人たちが遺産分割協議を拒めば、家庭裁判所に申立てられ調停や審判で解決する事態も想定されます。

 

被相続人の戸籍謄本類は本籍地の市区町村役場で取得することができます。必ず遺産分割協議を行う前に戸籍謄本類で相続人が誰になるのかをしっかりと確認しておきましょう。

わずかな遺産しか配分されない

被相続人の相続人となる人が複数人いて、相続人のうち1人が亡くなったのを良いことに、残りの相続人たちと多めに遺産を分け合うような事態が想定されます。

 

代襲相続人に相続開始の事実すら知らせず、他の相続人との間で勝手に遺産分割協議が進んでいることもあるかもしれません。

 

代襲相続人が代襲相続できる事実に気付き相続権を主張しても、他の相続人から無視されたり、遺産を得られても公正な配分とはとても思えない遺産配分だったりするケースもあり得ます。

 

このような場合は、代襲相続人が改めて被相続人の財産調査を行い、この事実を他の相続人に告げ、再び遺産分割協議を行うよう求めるか、遺留分(相続人に最低限保証された相続割合)による遺留分侵害額請求権の行使が可能です。

 

ただし、被相続人の兄弟姉妹には遺留分の権利はないため、甥・姪が代襲相続人になる場合には、遺留分侵害額請求権は認められません。

 

代襲相続人である自分に全く遺産が配分されなかった、またはわずかな遺産しか取得できなかった場合、家庭裁判所に申立て、調停や審判で解決する方法も検討しましょう。

 

最後に、代襲相続に関する不明点や悩みがある場合は「相続診断士」へ相談してみましょう。相続診断士は相続全般に広い知識を有する専門資格者です。相談者のケースに応じた適切なアドバイスが期待できます。

 

また、相続診断士はいろいろな士業専門家へ橋渡しを行う役割も担います。代襲相続で揉め事が起こりそうなら弁護士を、移転登記手続きに手間取りそうなら司法書士を、相続人の確認に手間取りそうなら行政書士を、相続税の申告が必要なら税理士を紹介してくれます。

 

 

記事監修

中島 美春(なかしま美春行政書士事務所/特定行政書士/相続診断士)

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