日本は「失業率が低い」といわれているが…
総務省統計局『労働職調査』によると、2022年の完全失業率は2.6%と、前年に比べて0.2ポイント減少した。完全失業者は179万人と、前年に比べて16万人減少した。
だが、そのうち1年以上の長期失業者は64万人、長期失業者率は35.8%。男女別では、男性の完全失業者は107万人、そのうち長期失業者は46万人、長期失業率は43.0%。女性の完全失業者は72万人、そのうち長期失業者は18万人、長期失業率は25.0%となっている。
日本は世界的にも失業率の低い国として知られており、OECDによると、2022年、調査対象38ヵ国中、日本は失業率37位となっている。この20年ほどの間、有効求人倍率が1.0を下回った2000年前後に24位を記録したのが「最高位」であり、以降は「最下位(=失業率が低い)」を維持している。
だが一方で、長期失業数・長期失業率になると、少し違った風景が見えてくる。2022年のOECDの調査によると、長期失業数は対象45ヵ国中7位であり、2000年以降の順位も、日本は常にトップ10圏内にある。また、長期失業率では45ヵ国中15位となり、以前は20位前半だったものの、近年は順位が上がっている。長期失業者・長期失業率は世界的に見ても高水準なのだ。
◆世界主要国『長期失業数』上位10ヵ国
1位「南アフリカ」301.90 万人
2位「スペイン」118.05 万人
3位「イタリア」116.11 万人
4位「米国」90.20 万人
5位「トルコ」85.90 万人
6位「ロシア」81.39 万人※
7位「日本」64.00 万人
8位「フランス」61.20 万人
9位「ドイツ」45.48 万人
10位「コロンビア」36.40 万人
出所:OECD(2022年) 資料: GLOBAL NOTE
※ 2021年の数値
◆世界主要国『長期失業率』上位10ヵ国
1位「北マケドニア」75.43%
2位「南アフリカ」70.70%
3位「スロバキア」66.52%
4位「ギリシャ」63.13%
5位「イタリア」58.41%
6位「ブルガリア」53.75%
7位「ポルトガル」45.16%
8位「ベルギー」42.21%
9位「スロベニア」41.74%
10位「スイス」40.39%
……
15位「日本」35.56%
出所:OECD(2022年) 資料: GLOBAL NOTE
氷河期世代にみる「失業期間長期化」の可能性
ある40代後半の男性は語る。
「前職の製造業を退職し、半年以上にわたって就職活動をしています。しかし、年齢のせいでしょうか、いまだに就職先が見つかりません。これから、どうやって生きていけばいいのか」
月に14万円台の失業保険でギリギリ暮らしているものの、失業保険の給付期間もわずかとなり、気持ちが焦る一方だという。
「コロナの影響も減り、再就職はさして難しくないと踏んでいたのですが、まさかここまで苦戦するとは…。想定外でした。ハローワークで、本当に泣けてきましたよ」
そういうと、がっくりと肩を落とす。
年齢が上がると求人数も減少し、失業期間が長期間に及ぶことは少なくない。ある程度若い年齢なら、仕事にこだわらなければ探せるのかもしれないが、中高年の場合はそもそも求人の数が少ないため、求職者が殺到し、倍率も跳ね上がる。
経済が回復傾向でも、氷河期世代にはいまなお厳しい状況が続く。
厚生労働省の調査によると、40代後半の男性(正社員)の月収の中央値は31.2万円、下位25%は24.7万円、さらに下位10%は20.6万円。男性の失業給付から推察するに、下位10%に該当すると推察され、氷河期世代のなかでもかなり厳しい状況に置かれていたと思われる。
失業保険の給付期間終了後も、就職先が見つからないときは…
失業保険の受給が終了しても就職先がみつからない場合は、どうしたらいいのか。その場合、一定要件を満たすと給付金を手にしながら職業訓練を受けることができる「職業訓練受講給付金」の検討をお勧めする。
対象となるのは、下記の条件をすべて満たしている人だ。
①ハローワークに求職の申込みをしている
②雇用保険被保険者や雇用保険受給者でない
③労働の意思と能力がある
④職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワーク所長が認めた
また、支給要件として「本人収入が月8万円以下であること」「世帯全体の収入が月25万円以下であること」等、7つの条件をすべてクリアする必要がある。実家暮らしの人や、アルバイトしているなどして受給対象から外れるケースもあるので要注意だ。
これらをクリアすれば、給付金を受けながら、新たなビジネススキルを磨くことができる。
生まれた時代が悪すぎたといわれる氷河期世代。だが、少しずつサポート体制は整いつつある。情報を活用し、キャリアアップをはかるのも有益な選択肢だ。
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