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医学部小論文試験で重要なのはテクニックではない
医学部の小論文試験対策と聞いて、小論文のテクニックを学ぶ必要があるのでは?と思った方もいると思います。しかし、医学部入試で最も重視されているのはテクニックではありません。
例えば、東京慈恵会医科大学の声明文にはこのように明記されています。
“自分でしっかり物事を考え、その考えを他者に分かりやすく伝えようとする力、さらに、今自分が持っている知識をもとに状況を理解して判断する力を評価します。 (略) 小論文の受験技法を問うものでも、国語の試験でもありません。東京慈恵会医科大学は、世界でたった一人の「自分」が考えたことを「他者」に伝えようと努力する人を求めています。”
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この声明文からは、上手な文章が書けること以上に、「受験生自身の考え」や「自身の考えを他者に伝える力」が重視されていると分かります。
小手先のテクニックが評価される訳ではないため、最低限の書き方のルールを押さえておけば対応できます。
必要なのは「客観性」と「論理性」
小論文に必要なものは、「客観性」と「論理性」です。小論文は作文とは違い、主観的に思ったことを書いても評価されません。
小論文では、まず設問の意図をきちんと正確に読み取り、次にその設問に対する自分の考えを客観的な立場で、論理的に説明することが求められます。
小論文を書く際には、
●きちんと設問の核をついた答えを主張できているのか
●客観的な根拠に基づいた主張が展開できているのか
●小論文全体を通して一貫した主張ができているのか
といった点に気をつけるようにしましょう。
これだけは覚えておこう!医学部小論文の書き方のルール
<医学部小論文の種類>
●テーマ型
⇒最も自由度の高い形式です。まずは、何を伝えたいかを決め、構成を考えてから書き出しましょう。具体例や体験談、自分の意見とは逆の立場の人の意見等を入れると説得力が上がります。
●文章読解型
⇒「次の文章を読んであなたの考えを述べよ」課題文を要約し、そこから自分の意見を質問する形で打ち出すタイプです。課題文が理解できていることをアピールし、それをもとに自分なりの考えを展開しましょう。
●資料分析型
⇒図やグラフ、写真、詩などが資料として与えられ、それをもとに分析、説明、自分の意見などを述べる形式です。図表やグラフを正確に読み取る必要があります。数字を読むときのポイントは、極端な部分に注目し些細な点は無視することです。
<書き方の基本的なルール・流れ>
①序論:
設問に対応する結論を端的に記載します。本論で具体的な内容に入るため、序論はあくまでも簡潔に書くとよいです。
②本論:
結論に至った理由や背景を具体的に説明していきます。具体例や体験談、問題点があればその解決策を述べ、自分の意見が相手に客観的に伝わるように記述していきます。思いつくままに書いてしまうと論理的でない文章となるので、あらかじめ「どんなことを」「どんな順番で」記載するのかを決めておきましょう。
③結論:
これまでに記述した、結論や解決策を再度端的に繰り返しましょう。
<基本的なフォーマット>
大学によって書き方が指定されている場合があります。その場合は大学の指示に従ってください。
特に明記されていない場合は、
●タイトルを書く(タイトルがない場合はいきなり本文から書き始める)
●タイトルから一行あけて本文を書き始める
●段落の始めは文字を1つ下げる
等が共通ルールです。
話の内容が大きく変わる時は必ず段落分けを行いましょう。
頻繁に段落をかえる必要はありませんが、適切に段落分けがなされていると読みやすく、相手に伝わりやすい文章となります。
小論文の書き方のコツ・注意点
文章を書き始める前に、どのような流れで書くか、どのような意見・具体例を組み込むかを考えてメモをつくりましょう。下書きなので箇条書きでも大丈夫です。
思い付きで書き始めてしまうと、途中で矛盾が生じたり、話が飛んで何を伝えたいか分からなくなってしまう恐れがあります。
特に、最初に結論と流れを決めておくことが大切です。小論文全体を通して一貫性のある主張ができるよう、最初に決めた内容から逸れないようにしましょう。
<小論文で注意する点>
●文章にミスのないようにする
⇒用紙の使い方や、段落の作り方など基本的なことをしっかり守れるようにするのはもちろん、必ず一度は読みなおして誤字・脱字がないかのチェックをしましょう。
●文字数に気をつけて時間配分を行う
⇒指定された文字数があれば、最低でも8割以上は埋めましょう。文字数が不足している場合は減点対象になる可能性があります。時間内に文章をまとめられるよう、時間配分に気を付けて試験を受けるようにしましょう。
●不適切な表現に注意する
⇒多くの人が納得できるようなことを書くことが大切です。特に道徳的・倫理的に問題ないか、不適切な表現がないかは必ずチェックしましょう。
●一文は短く
⇒よく言われることですが、一文が長いと読みにくい文章となります。「~して、~したところ、~となり…」というようにダラダラと文を続けるのではなく、適切な箇所で区切りましょう。
小論文の過去問演習について
対策としては、書き方のコツに気を付けて過去問を1年分ほど行いましょう。受験する大学が過去問を公表していない場合は、別の大学の過去問でも問題ありません。
自分の書いた文章が分かりやすく論理的に書けているか、学校の先生やご家族の方に添削してもらうのもおすすめです。医学の知識を持った人でなくても全く問題なく、第三者に確認してもらうことにメリットがあります。
「他者に自分の意見を論理的にわかりやすく伝えられるか」
「常識があり、倫理観に問題がないか」
「年齢相応の文章が書けるか(言葉づかいが幼稚でないか)」
といった点をクリアできているかを確認してもらいましょう。
【執筆】綿谷 もも
医学部医学科卒。数学が大の苦手で、高3の冬に受けた模試では偏差値39を取ってしまうほど。エースアカデミーで1年間浪人し、センター試験本番で90%以上を達成、関東の難関国立医学部、難関私立医学部に合格。
医学部入学後はエースアカデミーの医学生講師として6年間受験生を指導し300人以上の医学部合格に貢献。その経験をもとに、医学部在学中に書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』を執筆、出版。将来の夢は小児科医。アイドルと猫が好き。
【監修】高梨 裕介
医学部予備校エースアカデミー 塾長、医師
医師/大阪医科大学卒、初期研修修了後に創業。
中学受験経験(灘、東大寺、洛南、洛星中学に合格)。
自身の医学部受験の反省を活かし、350名以上の医学部合格者を指導。医学部合格のためのよりよい指導をより安く提供することを理念としてエースアカデミーを設立。