※画像はイメージです/PIXTA

贈与税の実地調査を受けた人は、9割以上が税務署から申告漏れなどの指摘を受けています。税務署から指摘を受ければ、本税以外に加算税・延滞税を支払わなければなりません。贈与税の税務調査についてみていきましょう。

税務署が贈与税の申告漏れの財産を見つける方法

税務署が贈与事実を把握する方法として、主に3種類の手段で情報収集をしています。

事業者が提出する法定調書は税務調査の情報源

贈与税の調査で、税務署が最も活用しているのが法定調書です。法定調書とは、事業者が税務署に提出する書類で、事業者には法定調書の提出義務が課せられています。また、法定調書の中で主に贈与税に関係する書類は、生命保険金の受取、国外への送受金などがあります。税務署は法定調書から、贈与の手掛かりとなる情報を確認し、申告内容と照合しています。

税務署は不動産の購入状況を把握している

税務署は、不動産の購入状況も把握しています。不動産を購入すると必ず法務局に登記をしますので、不動産登記簿を調べれば、誰が不動産を取得したかが確認可能です。また、法定調書の一つに不動産売買の仲介手数料があり、法定調書からも不動産の取得状況を把握しています。税務署はこれらの情報を元に、お尋ね文書で不動産の購入資金の内訳の回答を求めます。

 

購入資金を両親や祖父母から援助してもらった場合には、その支援された金額が贈与税の対象です。なお、贈与税の住宅取得等資金非課税の特例制度は、確定申告書を提出しないと適用となりませんので、注意してください。

相続税調査と並行して贈与税の調査も行っている

贈与税は、相続税の調査と一緒に行われることがあります。なぜなら、相続税の調査で相続財産を確認している際に、贈与の申告漏れを把握することがあるからです。また、相続人が相続開始前の一定期間内に被相続人から受けた贈与に関しては、相続税の計算に含める必要があります。

 

特に、亡くなる直前に銀行口座から出金したお金は申告漏れとなりやすく、税務署から指摘を受けるケースがあります。

贈与税の節税は相続税までセットとして検討しないと効果は薄い

贈与税には110万円の基礎控除額があるので、その金額以内での贈与であれば、贈与税の申告は不要です。ただし、注意点として、贈与は贈与者と受贈者の合意がないと成立しません。

 

もし、贈与者が受贈者の名義の銀行口座にお金を振り込んでいたとしても、受贈者が財産をもらったことを認識していなければ、税務署は贈与事実はなかったものとします。贈与が成立しない場合、その財産は贈与者の財産とみなされるので、贈与者が亡くなった際には相続財産として申告をする必要があります。

 

※相続財産への加算対象となる期間は令和9年から段階的に延長され、令和13年以降は相続開始7年以内の場合相続財産に加算します。

 

贈与税を利用した節税対策をする場合、相続税の申告までを考えないと、相続税の調査の際に税務署から指摘を受ける可能性があります。

 

また、相続税にも様々な控除の特例があり、トータルの税額を考えたときに贈与の方が良いか、相続の方が良いかといった点を判断する場合にはそれぞれのシミュレーションが必須となります。ですので、計画的に節税対策をする場合には、相続税専門の税理士に相談しながらプランを立てることを推奨します。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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