ラブホテルの休憩料を“お布施”と偽り…税務調査で「14億円の所得隠し」がバレた宗教法人の末路【元マルサの僧侶が暴露】

ラブホテルの休憩料を“お布施”と偽り…税務調査で「14億円の所得隠し」がバレた宗教法人の末路【元マルサの僧侶が暴露】
(※写真はイメージです/PIXTA)

収益事業等以外は原則非課税の宗教法人。税法上「公益法人等」に分類されるためですが、なかにはこの制度を悪用し、多額の脱税を企てる宗教法人もあると、『税理士の坊さんが書いた宗教法人の税務と会計入門』(国書刊行会)著者の上田二郎氏はいいます。“元マルサの僧侶”という異色の経歴を持つ上田氏が、悪質な脱税がバレた宗教法人の末路を紹介します。

問題は「固定資産税」にとどまらない…

宗教法人名義の預金は、源泉所得税も非課税扱いです。低金利時代、庶民の預金には少ない利息に対して、否応なしに20.315%の源泉所得税が天引きされますが、宗教法人の預金の利息には源泉所得税がかかりません。

 

ネットオークションなどには、宗教法人の売買とも思えるような出品がたくさんあります。税制上の優遇措置を受けている以上、それが悪用されないよう対策を求める声が出るのは当然のことです。

 

また、宗教法人が結婚式場や墓地の開発、病院経営、レストラン経営などさまざまな分野に進出していますが、優遇税制によって、一般企業との競争で優位にたてます。

 

優位な立場を利用して事業を展開し、税制の優遇を受けている宗教法人の実態が、休眠法人を買い取っただけの偽りの宗教団体だったなら、いったい何のための優遇税制なのでしょうか?

 

しかし、「ラブホテル事件」から、宗教団体の目的、宗教活動、公益法人とは何なのかが、改めて問われているような気がします。

 

ラブホテルに立っていた観音様は、脱税対策のために建立されたのでしょうか? せめて、ラブホテルにあった「世界の恵まれない子供たちに手を差し伸べ、少しでも多くの幼い命を救うために」の看板に偽りがなく、記載どおりに寄附が行われていたことを願わずにはいられないのは、私だけでしょうか?

 

 

上田 二郎

僧侶/税理士

 

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※本連載は、上田二郎氏による著書『税理士の坊さんが書いた 宗教法人の税務と会計入門』(国書刊行会)より一部を抜粋・再編集したものです。

税理士の坊さんが書いた 宗教法人の税務と会計入門 第三版

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