(※画像はイメージです/PIXTA)

医学部医学科卒の綿谷もも氏は、「医学部に合格するために必要なことは実は非常にシンプルだが、医学部に合格するために必要なことを誤解していると遠回りな勉強をしてしまう」と指摘します。本記事では、綿谷氏が現役医大生時代に刊行した著書『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(監修:高梨裕介氏)より一部を抜粋し、医学部に最短距離で合格するために、絶対に押さえておくべきポイントを紹介します。

医学部合格を果たすには「全科目の基礎の徹底」が最優先

医学部に合格するために最優先にすべきことは、「全教科の基礎を徹底すること」です。

 

指導経験から、全教科の基礎を徹底することで医学部合格は可能であること、そして医学部に合格するために最も効率の良い勉強法だということがわかっています。

 

実際、これまで多くの医学部受験生を指導してきましたが、医学部に進学した生徒の約半数は全教科基礎問題集のみの習得で医学部に合格しています。その中には、国公立医学部や私立御三家をはじめとする難関医学部に合格した人も含まれています。

 

なぜ基礎を徹底することで医学部に合格することが可能なのか、大きく2つの理由を説明します。

理由①:入試で最も差がつくところは「基礎力の有無」

1つ目の理由は、全教科基礎を徹底するのは簡単なことではなく、合格者と不合格者の間で最も差がつくところだからです。残念ながら医学部に不合格となってしまう受験生の多くは、全教科の基礎が徹底できていない状態で入試に臨んでいます。

 

不思議に思われるかもしれませんが、基礎的な問題集と模擬試験の問題を分析してみるとご納得いただけると思います。

 

基礎が徹底できていれば、模擬試験で偏差値65以上を取ることが可能です。そして、模擬試験の偏差値で65以上の実力があれば、国公立、私立いずれにおいても合格できる医学部は数多く存在します。

 

つまり、本当に基礎ができていれば、どこかしらの医学部に合格できる実力がついているはずなのです。医学部に合格できなかった原因を丁寧に分析してみると、「基礎すらできずに浪人が決まる人が多い」というのが医学部受験の現状だとわかります。

 

「全教科の基礎の徹底」というと簡単そうに聞こえるものの、抜けを作らず膨大な試験範囲を習得しておく、というのは案外難しいことです。

 

基礎の徹底が易しいと感じる方は、高校の教科書を思い浮かべてみてください。教科書に載っている事項はすべて基礎的ですが、例えば理科の教科書は分厚い上に文字は小さく、情報量が非常に多いことがわかります。

 

入試の範囲は理科だけではなく英語や数学もあるわけですから、基礎事項だけでも覚えなければならない量は山のようにあります。

 

そして、教科書に載っていることを「ただ知っている状態」と、「理解した上で使いこなせる状態」や「細かい違いも区別した上で完璧に暗記している状態」は全くの別物です。

 

「教科書に載っていることなら知っている」とたかをくくってしまう受験生は多いのですが、いざテストをしてみると知識が定着していないというパターンはよくあります。

 

このように、全教科全分野の基礎を完璧にすることは簡単なことではありません。

 

最後まで基礎に抜けがある人が多いことから、基礎を徹底することで他の受験生と差をつけることが可能なのです。

理由②:入試では「全ての問題を解く必要はない」から

2つ目の理由は、医学部に合格するためには入試で満点を取る必要がないためです。

 

基礎問題集だけで医学部に合格できると説明すると、「さすがに国公立医学部や難関私立医学部は応用問題集を使ってないとダメですよね?」と質問を受けることがよくあります。

 

基礎が大事なのは分かったけれど、問題の難易度が高い大学においては応用問題の演習が最も大事なのではないか、という考えですね。

 

しかし、先ほどもお伝えした通り、基礎問題集の習得に専念して国公立医学部や難関私立医学部に合格する卒業生はたくさんいます。その中には、数学の難易度が高いことで有名な単科大学医学部や、理科の出題が特殊な難関私立医学部も含まれています。

 

こうした合格が可能な理由は単純で、「入試では全ての問題を解く必要がないため」です。

 

例えば、問題の難易度が高い大学では、年度によっては合格者最低点が50%を下回ることもあります。出された問題の半分程度が解ければ合格できる試験、ということです。

 

難問や珍しい問題も出されているけれど、そういった問題が解けなくても合格できる、すなわち、難問奇問は合否にほとんど影響していないという事例は少なくありません。

 

難しい問題は目立つので取り上げられやすいのですが、その問題がどこまで合否に影響しているかはしっかりと見極めておく必要があります。

 

国公立医学部、私立医学部ともに、「全教科の基礎を徹底できているかどうか」は最も合否を左右します。まずは「全教科の基礎を固めること」を目標に勉強を進めることで、医学部合格までの最短ルートを歩むことができます。

 

 

【執筆】綿谷 もも

医学部医学科卒。数学が大の苦手で、高3の冬に受けた模試では偏差値39を取ってしまうほど。エースアカデミーで1年間浪人し、センター試験本番で90%以上を達成、関東の難関国立医学部、難関私立医学部に合格。

医学部入学後はエースアカデミーの医学生講師として6年間受験生を指導し300人以上の医学部合格に貢献。その経験をもとに、医学部在学中に書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』を執筆、出版。将来の夢は小児科医。アイドルと猫が好き。

 

【監修】高梨 裕介

医学部予備校エースアカデミー 塾長、医師

医師/大阪医科大学卒、初期研修修了後に創業。

中学受験経験(灘、東大寺、洛南、洛星中学に合格)。

自身の医学部受験の反省を活かし、350名以上の医学部合格者を指導。医学部合格のためのよりよい指導をより安く提供することを理念としてエースアカデミーを設立。

※本連載は、綿谷もも著・高梨裕介監修の書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(幻冬舎ルネッサンス)より一部を抜粋し、記事化したものです。

医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物

医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物

綿谷 もも(著)
高梨 裕介(監)

幻冬舎メディアコンサルティング

【医学部に「最短距離」で合格する方法、教えます。】 現役医大生(※書籍刊行当時)の筆者が、自身の医学部受験経験、塾の講師として医学部受験生を指導してきた経験をふまえて、医学部受験に「本当に必要なこと」を徹底解…

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