1.貿易赤字(季節調整値)の縮小が続く
財務省が7月20日に公表した貿易統計によると、23年6月の貿易収支は430億円の黒字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲467億円、当社予想は354億円)を上回る結果となった。
輸出が前年比1.5%(5月:同0.6%)と伸びを若干高める一方、輸入が前年比▲12.9%(5月:同▲9.8%)と減少幅が拡大したため、貿易収支は前年に比べ14,180億円の改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲4.8%(5月:同▲6.4%)、輸出価格が前年比6.7%(5月:同7.4%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲6.1%(5月:同▲5.1%)、輸入価格が前年比▲7.3%(5月:同▲4.9%)であった。
原数値の貿易収支は黒字となったが、6月は貿易黒字になりやすいという季節性がある。
季節調整済の貿易収支は▲5,532億円と、5月の▲7,710億円から赤字幅が縮小したが、21年6月以降、25ヵ月連続の赤字となった。貿易赤字(季節調整値)は22年夏場のピーク時から大きく縮小しているものの、実勢として赤字を脱したわけではない。
23年6月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=82.1ドル(当研究所による試算値)と、5月の86.5ドルから低下した。
足もとの原油価格(ドバイ)は80ドル前後で推移しており、長期契約で販売する際に指標価格に上乗せされる調整金、船賃、保険料などを含めた通関ベースの原油価格は、7月に80ドル程度まで下落した後、8月には80ドル台半ばまで上昇することが見込まれる。