(※写真はイメージです/PIXTA)

故人が亡くなる前に介護状態にあり、献身的に介護した人がいる場合、その人が金銭的に報われる方法はあるのでしょうか。本記事では司法書士の岡信太郎氏、税理士の本村健一郎氏、社会保険労務士の岡本圭史氏が監修した『改訂新版 身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」』(三笠書房)から、一部抜粋してご紹介します。

故人を介護した「相続人以外の親族」にも金銭の請求権がある

相続人以外の親族、たとえば「長男の妻」が在宅で義父母の介護を行うケースはよくあること。

 

しかし、以前は、介護をした人が長男の妻や親戚など「相続人以外」であった場合は、寄与分の対象外となり、遺言がない限りは貢献に対する相続財産の配分は考慮されませんでした。

 

これが、2019年の「特別の寄与」に関する制度新設により、長男の妻などの「相続人以外」の人が介護を行った場合、相続人に「特別寄与料」の請求が可能となりました([図表3]参照)。

 

[図表3]制度改正で「特別寄与料」の請求が可能に!

 

「相続の開始および相続人を知った時から6ヵ月以内」または「相続開始の時から1年以内」に申し立てることによって、特別寄与料を請求できます。

 

介護の苦労に報いることを目的とした新制度ですが、注意点もあります。

 

1つ目は、特別寄与料を請求できるのは、被相続人の相続人ではない親族であるということ。ただし法的な婚姻関係を結んでいない内縁の妻は対象外です。

 

2つ目は、与えられるのは請求権のみで、自分が相続人にはなれないということ。

 

3つ目は、寄与料の請求には、無償で介護を行ったことの証明が必要になるということです。

 

介護に励んだことがわかるよう、介護内容の記録や交通費等の明細(レシートなど)を残しておくことで、特別寄与料を請求しやすくなります。


 

岡 信太郎

司法書士のぞみ総合事務所

代表、司法書士

 

本村 健一郎

税理士法人TAパートナーズ

代表CEO、税理士

 

岡本 圭史

社会保険労務士法人カナロア

代表、社会保険労務士

 

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改訂新版 身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」

改訂新版 身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」

岡 信太郎・本村 健一郎・岡本 圭史

三笠書房

「何から手をつければいいかわからない…」 「スムーズにいかず気持ちが焦る」 多くの相談者から寄せられる言葉です。 実際、葬儀後にはやるべきことがたくさんあります。 ◆不動産、株式や投資信託などの相続は? ◆…

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