(※写真はイメージです/PIXTA)

終身雇用制度はとっくに終焉。働き方も多様化の時代だが、正社員であれば、一つの会社に勤務し続けることで、キャリアを磨くチャンスも巡り、給与が上がるというのが一般的だ。だが非正規社員の場合はどうか。同じところにとどまって、メリットはあるのか。実情を見ていく。

非正規社員「真面目に働き続けること」にメリットなし!?

では「正社員になりたい」人は、どのような理由があるのだろうか。前述の調査によると、最も多いのが「正社員の方が雇用が安定しているから」の73.6%、続いて「より多くの収入を得たいから」の71.8%となっている。

 

これらの点から、非正規社員は低収入・不安定であり、それを本人が危惧している、という構図が読み取れる。

 

正社員の場合、一般的には、キャリアを積んで給与が上がっていくというイメージだが、非正規社員の場合、そういった仕組みにはなっていないケースが多い。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、「正社員0年目」の月収(所定内給与額)は平均30万5,400円。一方、非正規社員は平均27万1,800円。この時点で3万円の格差だが、まだそこまで大きな違いとはいえない。

 

だが、そこから10年後経過した大卒30代後半はどうか。勤続10年を超えると、正社員の月収は平均39万9,500円と、勤続0年目に比べて130%になっている。一方、非正規社員は平均26万8,600円と、勤続0年目と比べて98%。むしろ月収は下がっている。

 

勤続20年目の大卒、40代前半では、正社員の場合は勤続0年目と比べて154%、非正規社員は118%となっている。勤続30年目の大卒であれば、50代前半には正社員なら勤続0年目と比べて173%、非正規社員は117%となっている。

 

同じ大学の同期で、一方は正社員、一方は非正規社員としてキャリアをスタートしたら、給与差は歴然だ。非正規社員として20年頑張ってきた人がこの状況を知ったら、あまりのやるせなさに気持ちがヤサグレてしまうのではないか。

 

非正規社員・正社員「勤続年数別」平均給与

※ 数値左:大卒非正規社員、右:大卒正社員

 

0年:271,800円 / 305,400円

1~2年:272,200円 / 318,300円

3~4年:285,300円 / 325,300円

5~9年:290,200円 / 353,400円

10~14年:268,600円 / 399,500円

15~19年:287,500円 / 434,400円

20~24年:322,800円 / 471,400円

25~29年:307,500円 / 520,400円

30年以上:320,200円 / 529,300円

 

出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』


終身雇用制度をはじめとする「古き日本の人事制度」は終焉した。だが、高度成長期を経験した親の影響で、いまなお「石の上にも3年」「お金の話を持ち出すのは下品」といった意識が根強く受け継がれている人も多い。

 

もちろん、少しばかりイヤなことがあるからといって逃げ出していては、技術や経験を積むことはできない。「あのとき辛抱して、本当によかった」という思いを持つ人もいるだろう。

 

だが、非正規社員に限っていうなら、同じ会社で、同じ立場で、同じような仕事を繰り返していても、給与面やキャリアに何のメリットもない、そんなケースも多いのではないか。


果たして、現状のままでいて大丈夫なのか。給料に納得できない非正規の人は、そろそろ「現状に甘んじる」以外の選択肢について考えてみてもいいかもしれない。

 

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