開業医の家庭は一般家庭より多くの相続リスクを抱えています。そのようなリスクを回避するためには「院長夫人」の働きが欠かせません。本連載では、資産や医院を子に残すため、具体的な相続対策の手法を解説します。

各家庭ごとに異なる事情を考慮した相続対策が重要

具体策1「信頼できる相続アドバイザー」を見つけましょう

開業医の複雑な相続を、自分たちだけで乗り切ろうとするのはとても困難で危険なことです。また、顧問税理士がいらっしゃるとしても、毎年のように改正される法律や特例をチェックし続けるのは、とても難しいことです。

 

相続では、各家庭が抱える事情や財産の内容・規模、将来の展望、守りたいものの優先順位などを事細かくヒアリングして把握したうえで、そこに潜むリスクを全部洗い出し、お客様と相談しながら、すべての問題が丸く収まるように、一つひとつオーダーメイドで対策を組み立てていくことが重要です。

 

節税だけできればいい、争族さえ起こらなければいいというのではなくて、相続税の納税もできて、クリニックの承継もできて、家族も仲良く暮らせる、そういう多面的かつトータルな対策をしていくことが大切なのです。

 

ですから、あなたのご家族の将来を見通し、その幸せを一緒に考えてくれるアドバイザーに”相続のかかりつけ”としてそばにいてもらい、相談しながら対策や準備を整えていっていただければと思います。

アドバイザーは長く付き合える「相性の良さ」を重視

では、信頼できるかかりつけをどのようにして見つけるかですが、これは最終的には“人と人との縁”にいきつくと思います。お互いに人間同士ですから、やはり相性というものはあります。

 

相続では家庭の状態や資産の中身を全部さらけ出すことになります。病院にたとえるなら、服を脱いで丸裸になり、全身を調べてもらうのと同じようなものです。そして、かかりつけ医のように、何か心配なことや変わったことがあればそのたびに相談し、長くお付き合いをしていくことになります。

 

ですから、漠然とした言い方になってしまいますが、まずはご自分たちと馬が合うことが一番大事な条件になってくるでしょう。できれば、親子二世代、お孫さんも含めて三世代にもわたってお付き合いをしたいと思えるような相談者を見つけられるとラッキーだと思います。

 

今はインターネットもありますし、相続や事業承継の本もたくさん出ています。ご自分から情報を集め、「この人と会って話してみたい」と思う人にアプローチをしていくといいでしょう。そして、「この人なら」と思える方にお願いすると、失敗が少ないと思います。

 

きっとあなたや、あなたのご家族と相性のいいアドバイザーがどこかにいますから、諦めずにお探しになってください。

本連載は、2016年8月27日刊行の書籍『開業医の相続対策は「奥様」がやりましょう』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

開業医の相続対策は 「奥様」がやりましょう

開業医の相続対策は 「奥様」がやりましょう

芹澤 貴美子

幻冬舎メディアコンサルティング

開業医は、今、目の前にいる患者さんの命と健康を預かる、専門的な職業です。新しい医療技術のこと、新薬のことなど、たくさんの情報を常に仕入れていなくては務まりません。なかなかお金の知識を得るための時間はないのが現実…

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