相続の現場には、家族も知らなかった衝撃事実が判明し、思わぬトラブルに発展するケースが存在します。本記事では、被相続人と戸籍上は兄妹ではないことが判明した和代さん(仮名)の事例とともに、円滑な相続のためにできる生前対策について法律事務所Zの依田俊一弁護士が解説します。

円滑な遺産相続のためにできる生前対策

今回の場合、8人の相続人全員が相続分の譲渡をしたため、和代は当初想定していた5,000万円相当の不動産をすべて相続することができましたが、これは珍しいケースです。誰かが反対し相続分の譲渡を受けられない場合も十分にあり得ます。では、もっとスムーズに相続を進めるためには、どうすればよかったのでしょうか。

 

まず、被相続人の立場で考えてみましょう。今回のケースでは、被相続人である重雄本人は、和代と戸籍上は兄妹でなかったことやほかに戸籍上の兄弟姉妹がいることは把握していたはずです。自分の死後に遺産相続で揉めないよう、遺言書を作成し、遺贈する旨の意思表示をしておくのが望ましいです。

 

また、重雄のように子供がおらず、兄妹が相続人となってしまうこと自体は、決して珍しくはありません。特に、まさにこれから相続問題に直面する60代以上の世代は、比較的兄弟姉妹が多く、戸籍上や血縁関係が複雑なケースもあるでしょう。

 

前述のとおり、兄弟姉妹の相続人が亡くなっていれば子供が代襲相続の対象になりますので、相続人の確認と戸籍などの確認書類の収集だけでもかなりの手間がかかります。兄弟姉妹が多い場合は、相続する立場、相続を受ける立場それぞれを想定し、兄弟姉妹同士であらかじめ話し合っておき、残された子供や親族が揉めないように備えておくとよいです。

 

筆者ら弁護士は、家族で揉めてからでなくても、遺言書の作成など事前の準備段階でも協力できますので、早めに弁護士に相談するのもよいでしょう。

 

 

依田 俊一

法律事務所Z

弁護士

 

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※依頼人の特定を避けるため、登場人物の設定を変更して一部脚色しています。

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