相続の現場には、家族も知らなかった衝撃事実が判明し、思わぬトラブルに発展するケースが存在します。本記事では、被相続人と戸籍上は兄妹ではないことが判明した和代さん(仮名)の事例とともに、円滑な相続のためにできる生前対策について法律事務所Zの依田俊一弁護士が解説します。

顔も知らない8人の戸籍上の兄弟が判明…

相続分の譲渡を受けることを重雄の戸籍上の家族からの同意を得ることができましたが、手続きを進めるためには超えなければならないハードルがありました。それは、重雄の戸籍上の兄弟姉妹のすべての同意の取得です。

 

前述のとおり、戸籍上の親族のなかで相続順位が定められていますので、重雄に戸籍上の兄弟姉妹がいた場合、相続人が増えることになります。幼少期をともに過ごしたかどうかや、当人同士が兄弟姉妹と認知しているかどうかに関わらず、戸籍上兄弟姉妹であるかどうかで判断されます。つまり、重雄に戸籍上の兄弟姉妹がいた場合、財産である5,000万円相当の不動産を人数でわけるという形です。

 

調べた結果、重雄には戸籍上は家族の代表者として話した兄のほかに7人もの兄弟がいることがわかりました。全員が相続権を主張した場合、1人あたりの相続額は約625万円となります。

 

戸籍上の家族の代表者である兄が一時的に連絡をとってくれましたが、縁を切っている兄弟もいるため、すべての兄弟と連絡をとれるわけではありません。その場合、和代が重雄の戸籍上の兄弟と連絡を取り、相続分の譲渡の同意を得ることになりました。

 

兄弟7人のうち3人は死去し「代襲相続」が発生

当然、兄弟の全員を特定する作業は一筋縄ではいきませんでしたが、調査を重ねて兄弟の多くが北海道に住んでいることがわかりました。さらに調べていくと7人のうち3人はすでに亡くなっていることも判明しました。

 

相続人が亡くなっている場合、相続人が減るというわけではなく、相続人が死亡した場合には、その子や孫などが代襲相続することになります(民法887条2項)。兄弟姉妹の場合は、その子供までが代襲相続の対象となります(民法889条2項)。

 

亡くなった3人のうち、1人は子供がおらず、残りの2人にはそれぞれ1人ずつ子供がいました。まとめると、5人の兄弟と、亡くなった兄弟の子供2人の計7人が相続人であるということになります。約半年をかけて全員と連絡を取ることができ、全員が重雄の財産について相続分を譲渡する旨の契約書について同意をもらえました。

 

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※依頼人の特定を避けるため、登場人物の設定を変更して一部脚色しています。

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