(※写真はイメージです/PIXTA)

原材料の高騰により、値上げが続く日本。そのようななか、やむを得ない自社商品の値上げを卸業者が受け入れてくれず、苦しむメーカー企業も少なくありません。そこで本記事では、「値上げ」の価格交渉力を上げる方法を、株式会社 YRK andの取締役・深井賢一氏が解説します。

「値上げ商談力」を強くする3つの提案

①「すぐにかんたんローコストに」流通企業別オーダーメイドキャンペーン

これは、値上げ商談で、業態を問わず、規模を問わず、流通企業が個別にオリジナルキャンペーンを実施するものです。いわゆる流通タイアップキャンペーンです。

 

キャンペーンのタイトルに、店名のロゴを入れたり、店のキャラクターを入れ、値上げを受け入れてくれる流通企業には、オリジナルキャンペーンを提供することで、来店客への購入の動機づけを図る企画です。通常この手の流通タイアップキャンペーンは、流通ごとにロゴを変えたりと手間がかかるうえに、個別にキャンペーンサイトを用意するとなると大きなコストがかかります。

 

そんなコストがかからないばかりか、誰でもすぐに簡単に、流通企業別のキャンペーンサイトをつくることができる施策があるのです。特に地方では、大手ナショナルチェーンよりも、集客力も売りもつくることができる地域一番店や、店舗数は少ないが、その地域にはなくてはならないチェーンもあります。

 

この仕掛けの素晴らしさは、キャンペーン企業がいくつ増えてもコストがほとんど変わらないこと。だから、大手だけでなく中小でも地方の企業でも、何社でも個別キャンペーンを提供することができるのです。どんな仕掛けなのか、それは後ほどご紹介します。

 

②ファン客に値上げを共感してもらう仕掛け

メーカーの強みは、ブランドや商品にファンが少なからず存在するということです。安いから買うのではなく、好きだから買うという愛用者です。とはいえ、好きな商品であっても理由もわからず値段が上がるというのでは、理解は得られません。

 

値段が上がる理由をうまく伝えることが大切です。値上げの理由はほとんどの場合、社会問題コストかその解決にかかるコストです。つまり値上げを受け入れ買い続けるということが、その商品といっしょに社会問題に取り組むことだと伝えられれば、理解が共感に変わります。

 

せっかくキャンペーンページ(サイト)があるわけですから、値上げの要因となる社会問題や解決への取り組みを説明することができます。

 

さらに理解から共感や応援といった感情を引き出すために、たとえばキャンペーンの期間中に商品を購入いただくと、その売上の一部が関連団体に寄付されるという仕掛けを付加します。それも値上げの要因になった社会問題の関連団体への寄付です。

 

燃料費の上昇のもとになったエネルギー問題は、「紛争地への支援」「再生エネルギー支援」など。途上国の原材料や人件費の上昇であれば、「その国の子供たちの教育支援」「関連した就労学校の支援」「産地の支援」など。環境問題や温暖化によるコスト上昇であれば、「環境問題に取り組む団体への支援」などです。

 

これによって、値上げの背景にある社会問題と、それを解決するための取り組みへの理解につながり、商品購入が参加や応援、共感につながるのです。

 

③値上げを味方にする投稿キャンペーン

愛用しているファンだからこそ持っている情報があります。好きだからこそこだわっているコトがあるはずです。最後のダメ押しは、ファンによる自社商品の使用シーンや食シーン、調理シーンをインスタグラムやツイッターを使って投稿してもらうキャンペーンです。

 

だから、数千のファンから寄せられた写真とコメントは売場でも使えますし、自社オリジナルの商品事典に編集してキャンペーンの景品にすることもできます。

 

ファンから投稿された商品やブランドに対する愛情あふれる写真とコメントは、商品のセールスポイントをファンの目線で熱く語ってくれています。ファン1人1人の情報は、プロのコピーライターや料理人がつくったレシピに比べれば未熟だったり、薄い内容かもしれません。しかし、その商品のファンが語っているという点で、圧倒的な説得力や共感力があります。

 

「何をいうか」以上に「誰がいうか」が重要だからです。同じことでも、いう人によって説得力も共感力も変わるのです。

 

そのよい例が、食べログやamazonに代表されるユーザーのコメント欄です。ファンの側からしても、自分の商品への愛着度を投稿することによって、そして同じファンの投稿写真やコメントを見ることによって、メーカーや商品を今まで以上に身近に感じ、ファンとメーカーの一体感が生まれてきます。

 

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[図表2]値上げをミカタにする仕組み
出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム

 

この関係性は、投稿キャンペーンという一過性のものではなく、商品のよさやモノづくりの背景を伝えてくれる仲間にできます。

 

自分たちが関わった商品が世に出れば、当然それを友人や知人やSNS上で知らせたくなるはずで、ここまで来ればもう味方です。ファンが自社商品のミカタとして、熱く語ってくれていれば、商談において大きな後押しになるはずです。

 

 

深井 賢一

株式会社 YRK and

CMO/取締役 兼 TOKYO代表

 

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