(※写真はイメージです/PIXTA)

原材料の高騰により、値上げが続く日本。そのようななか、やむを得ない自社商品の値上げを卸業者が受け入れてくれず、苦しむメーカー企業も少なくありません。そこで本記事では、「値上げ」の価格交渉力を上げる方法を、株式会社 YRK andの取締役・深井賢一氏が解説します。

値上げへの抵抗感が強い日本、受け入れられやすい海外

原材料高によるコスト上昇が続いています。やむなく値上げを発表した商品は、「家計を脅かす商品」とでもいうような報道のされ方です。しかも値上げを表明したあとに待っているのが、流通企業との店頭価格の値上げ交渉。商品部のバイヤーに値上げ交渉を行い、理解してもらって店頭価格の引き上げに踏み切っていただくまでには、大きな営業パワーを使うはずです。

 

2022年4月1日の日本経済新聞には「食品値上げ、店頭波及9割」という見出しが出ました。記事によれば、2019年の値上げでは6割弱だったことに比べ、2022年の値上げは9割強が店頭価格に反映されたということです。

 

ただし、2022年は14品目のうち12品目、2019年は7品目のうち4品目の店頭価格が上昇したということなので、喜ぶべきことなのかどうか、母数の品目数が少ないためなんともいいにくいところです。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム
[図表1]値上げに対する受け入れ度 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム

 

値上げの原因は、社会問題と社会問題解決コストの上昇によるものです。だから食品も日用品も、ほかの品群も、値上げをしないと採算は厳しいはずです。それでも値上げに踏み切れないのは、流通企業との商談が厳しいからで、流通企業が値上げを渋るのは顧客離れが起きるという心配があるからでしょう。

 

その点、海外のほうが流通企業も消費者も値上げを受け入れてくれるため、海外販売の比率を上げている企業もあるといいます。

今後もコストは上がり続ける

繰り返しますが、現在の値上げ要因は、社会問題と社会問題を解決するコスト上昇が原因です。たとえば、脱貧困や人権問題による人件費、紛争・戦争によるエネルギーコスト、温暖化による天然資源の減少、異常気象による農産物不作、さらにさまざまな規制や認証システム……。これらはすべてコスト上昇要因です。 

 

こう見ていくとこれから先、劇的に社会がよくならないかぎり、コストが下がることは考えにくい状況です。メーカーによっては、最近値上げをしたところなのに、1年以内にもう一度値上げをしないといけない状況だと聞きます。

 

であればなおさら、値上げのたびに構えて商談に臨むということではなく、常に強い商談力をつけておく必要があります。そこで、商談力をいますぐに増強支援できる、しかも実績ある仕掛けを3つ、ご提案します。

 

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