総務省と経済産業省による『経済センサス活動調査』によると、日本には367万もの会社があり日本標準産業分類で大きく20の業種に区分されます。業界ごとに、取り巻く環境はさまざま。それぞれの業界のトップ企業と、給与事情についてみていきましょう。今回、焦点を当てるのは「鉄道」。

大企業の好待遇が目立つ鉄道業界

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、会社員(男女計、学歴計、産業計)の平均給与は月31万1,800円(所定内給与額)、賞与も含めた年収は496万6,000円。一方、今回の3社が属する「鉄道業」は平均月給39万7,000円、年収は593万6,300円と、年収ベースで全産業平均を約100万円上回りました。

 

全産業の企業規模(大企業:従業員1,000人以上、中企業:従業員100~999人、小企業:従業員10~99人)による給与差をみると、大企業の給与は月収で中企業の1.15倍、小企業で1.22倍、年収では中企業の1.22倍、小企業の1.38倍、というのが平均値です。

 

「鉄道業」の企業規模別給与差は、大企業の月収は中企業の1.14倍、小企業の1.43倍。年収は中企業の1.16倍、小企業の1.56倍と、月収・年収のいずれにおいても「大企業→中企業→小企業」の順に並び、大企業と小企業の格差が目立ちました。

インバウンド需要の復活に期待

コロナウイルスが5類となったものの、リモートワークを継続している企業は多く、またコロナ前はわざわざ相手先を訪問して行っていた定例会議の類はWeb会議システムで済ませるようになったため、コロナ禍が終わったとしても、ビジネスマンの鉄道利用が19年以前の水準に戻るかどうかは微妙なところです。

 

そんななか、JR東海は23年10月以降、新幹線『のぞみ』において、ノートパソコン等で仕事がしやすいように改良した『S WorkPシート』を導入予定としています。これは、3人掛け席の中央(B席)にパーティションを設置し、A席とC席にスライド式のテーブルを設置したもので、通常の普通車指定席より1,200円高い料金を設定。利用者数の増加を見込むのが難しいなか、単価を上げる戦略に打って出るようです。

 

またJR東日本は、首都圏の駅構内に完全個室のブース型オフィス『STATION BOOTH』や、複数人での打ち合わせも可能な『STATION DESK』など、4つのサービスからなる『STATION WORK』を全国800拠点以上に展開しており、コロナ禍で急速に進んだ働く場所の多様化のニーズをとらえています。

 

ビジネスマンによる鉄道利用についての見通しが不透明な中、鉄道業界が期待を寄せるのが、訪日外国人によるインバウンド需要の復活です。

 

22年10月の「水際対策」緩和以降、日本を訪れる外国人観光客・ビジネスマンは増えており、23年4月の訪日外国人数は194万人に達しました。これは、1年間に約3,200万人の外国人が日本を訪れていた19年の7割に迫る水準です。外国人の5割以上が国内の移動に鉄道を利用するともいわれており、訪日外国人の増加は、鉄道各社にとって大きな追い風になるでしょう。

 

コロナウイルスが5類認定されて日常が戻りつつあるなか、ビジネスマンが付加価値を感じられるサービスや訪日外国人向けの利便性の向上を実現するため、鉄道各社はどんな戦略を打ち出すのでしょうか。その動向に注目です。

 

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