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債務整理の方法には、「任意整理」「特定調停」「自己破産」「個人再生」の4種類があることを知っていますか? それぞれの手続きの方法やメリット・デメリットがわかれば、どの手続きがベストかの判断がしやすくなります。本連載は、司法書士法人みどり法務事務所が運営するコラム『スマサポ』から一部編集してお届け。本稿では、4種類の債務整理の流れ、メリット・デメリットについて解説します。

自己破産とは

自己破産とは、借金の返済額が収入に比べて課題になってしまった場合に、裁判所に「免責許可」の申し立てをして、借金の返済を免除してもらう手続きのことです。

 

免責許可が下りた後は、税金等の一部を除き借金を返済する必要がなくなります。

 

自己破産のメリット

・非免責債権を除き借金がなくなり、返済が不要となる。

 

・無職や生活保護受給中の場合など、返済ができない方も選択できる手続きであり、自己破産手続きによって、生活保護が受けられなくなることはない。

 

・債権者による給料差し押さえなどの強制執行を止めることができる。

 

自己破産のデメリット

・一部の債権者を除いて手続きをすることができない。たとえお世話になっている親戚などからお金を借りている場合でも、その人を除外することはできない。

 

・同一家計の収支等について裁判所に報告する必要があるため、家族に内緒で手続きすることが難しい。

 

・信用情報機関に情報が登録され、借入れが一定期間できなくなる。登録後大体5年~10年とされる。

 

・住所氏名が、「官報」という国が発行する機関誌に公告される。

 

・免責許可決定が出るまで、警備員や保険の外務員などの一定の職業につけない場合がある。

 

・20万円以下の預貯金や高額でない家電、車などの財産は残すことができるがそれ以上の財産については手放す必要がある。

 

自己破産の種類

自己破産には、「管財事件」「少額管財」「同時廃止」の3種類があります。

 

どの手続きになるかは、申立人の経済状況や借金額、借入れの態様などを考慮して裁判所により判断されます。

 

■管財事件

管財事件とは、高額な財産がある場合や、申立人が経営者や自営業者であるケース、借金をした原因に問題(ギャンブル・浪費など)があるケースで取られる手続きです

 

管財事件では、裁判所から選任された破産管財人が、申立人の借金について調査します。そのうえで、申立人が所有する財産を換価処分して債権者に分配する業務を行います。

 

管財事件では破産管財人の報酬も支払う必要があるので、同時廃止よりも費用が高くなり、手続き終了までの期間も長くなります。

 

■同時廃止事件

同時廃止とは、預貯金や不動産、高価な財産などがない場合の自己破産手続きです

 

管財事件と比べて、破産管財人がつかない分費用もあまりかからず、時間もかかりません。

 

■少額管財事件

管財事件のうち、「少額管財事件」と呼ばれる手続きがあり、大都市の裁判所など特定の裁判所で運用されています。

 

少額管財事件は、管財事件よりも手続きが簡略化しており、裁判所に納める予納金が少額で済むメリットがあります

 

ただし、少額管財事件は、弁護士が申立代理人となる必要がある点など注意が必要です。

 

自己破産の手続きの流れ

1.司法書士に依頼をすることで、各債権者に受任通知が届き、督促が停止する

 

2.司法書士が債務の調査及び収入や支出を確認して、破産申立書の作成をする

 

3.通帳や、借入れの経緯説明書など必要な書類等の準備

 

4.3と並行して、司法書士報酬等の分割支払い

 

5.書類作成及び分割支払いが終わったら裁判所に申立て書提出

 

6.裁判所での面接(破産者審尋、弁護士に依頼した場合は原則不要)

 

7.自己破産手続きの開始決定(同時廃止の場合は、決定と同時に自己破産手続きの廃止決定もなされる)

 

8.管財事件の場合は管財人が選任され、財産の換価配当業務などが行われる

 

9.裁判所での面接(免責審尋)

 

10.免責許可または不許可決定

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