高齢の親がいる場合は「すぐに使えるお金」の備えを
……A.「そのとき」に備えてすぐ使えるお金を用意しましょう
転倒して骨折した、脳卒中で倒れた、がんが見つかった……。高齢になると、いつケガや病気に襲われるかわかりません。親と離れて暮らしている場合は特に、「まずは近所に住む親戚や知り合いに対応してもらい、子どもは休日に駆けつける」「比較的自由度の高い仕事をしている私がまず駆けつけ、そのあとで妹と交代する」など事前に対応のしかたをシミュレーションしておきましよう。
また、誰が駆けつけてもスムーズに準備ができるように、旅行カバンにタオルや着がえ、洗面用具、箸やコップなどを入れた「入院セット」を親に用意しておいてもらうと安心です。
入院時には、保証金(5万~10万円程度)を先に支払うことになります。これは退院時に精算される預かり金的なものですので、原則クレジットカードは使えません。現金を準備しておきましょう。
では、実際の入院治療にかかる費用はどのくらいでしょう。たとえば脳梗塞で入院した場合、1日の治療費は2万~3万円。間をとって2万5000円とすると、30日間の入院で75万円になります。
ギョッとする額ですが健康保険が使えますから、自己負担額は1~3割(親の所得で変わります)。1割だとすると7万5000円の支払いです。
次のページでお話しする「高額療養費制度」を利用すれば減額されますが、入院中の食事代(図表1)が30日分必要になるので、合計すると1カ月で約10万円はかかると覚悟しましょう。