(※写真はイメージです/PIXTA)

※本記事は、東洋証券株式会社の中国株コラムから転載したものです。

著名な経済評論家も例外なく「制裁」の対象

これを短絡的に言論封殺と断じるつもりは毛頭ないが、背後に何かアンタッチャブルなものがあるのではと勘ぐってしまう。最近よく聞くフレーズは「すべては国家の安全保障のため」。情報も安全を脅かしかねないということだろうか。

 

6月26日、「金融ライター3人を微博(ウェイボー)から追放」という一報が飛び込んできた。著名経済評論家の呉暁波氏の名もあったので驚いた。

 

中国の失業率と株式市場に関する「否定的で有害な情報」を広めたとされ、運営側は3人が中国の現行政策と管理システムを「攻撃し、否定した」とのコメントを発表している。

 

これで思い出したのが、2020年4月のある一件。中泰証券が「第1四半期に中国で増えた失業者数はすでに7,000万人を超え、失業率は20.5%前後」とするレポートを出した。政府発表の5.9%(20年3月)を大きく上回る。

 

ところが、なぜかレポートは発表当日に取り下げられてしまった。数日後、同証券研究所所長で著名エコノミストの李迅雷氏が解任された。何か都合の悪いことでもあったのか。誰かの名言が脳裏をよぎる。「何も言えねぇ」。

 

 

奥山 要一郎

東洋証券株式会社

上海駐在員事務所 所長

 

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