子どもが健やかに成長するためには、両親から愛されていることを実感しなければいけません。しかし、その両親が決別した場合、子供の幸せはどうなってしまうのでしょう。この連載では、『子どもの権利条約に基づいた 子どもが幸せになるための、別居・離婚・面会交流のすべて』(自由国民社)からの抜粋転載で、様々な事情により別居・離婚をすることになった親が、共同で子どもを幸せにするためにはどうしたらいいか考えていきます。
婚姻費用の請求は
養育費が子どものために支払われるのに対し、配偶者も含めた生活費のことを婚姻費用といいます。別居から離婚成立までの間、収入が多いほうの親がもう一方に支払う必要があります。
離婚が成立すると親子関係だけが残り、養育費の支払いに移行します。婚姻費用の金額は、養育費と同様に裁判所の算定表によって定められています。本来この制度は、社会的に弱い立場の女性を支援するために設けられたものですが、親に経済的な余裕があれば実家の世話になることも、公的な支援を受けることもできます。
婚姻費用を受け取る側は、制度上権利があるからといって、何も考えずに請求してはいけません。子どもの幸せを考えるための養育を志すなら、もう一方の親の感情を考慮する必要があります。一時的な金銭的メリットと、子どもへのメリットをよく考えてみましょう。
離婚が成立していなくても、養育費相当の金額だけを請求することも、ぜひ選択肢に入れてください。そのほうが、相手の理解を得られやすいはずです。一方、婚姻費用の相当額を請求されてしまった側の親は、不条理に感じることと思いますが、いち早く離婚を成立させ養育費を支払う方向に気持ちを切り替えましょう。
文京学院大学非常勤講師
子どもの権利条約(CRC)日本代表
臨床心理士
公認心理師
家族と子どもセラピスト学会認定セラピスト
ジャーナリストとして活動するなかで、社会的弱者、とくに「子ども」に注目し、虐待を受けた子ども、施設や里親で暮らす子ども、オウム(現・アレフ)信者や、よど号ハイジャック犯の子どもなどを取材。アライアント国際大学臨床心理大学院入学。修士課程修了後は社会・心理学視点を合わせ持った臨床・執筆活動を行う。
IFF・CIAP相談室にて家族療法や依存症についても臨床経験を積み、現在は東京都内でカウンセリングを行う。愛着理論を基盤にした子どもの権利条約や子ども問題全般についての講演や執筆多数。離婚や、別居に伴う面会交流などの家族問題、ペットを見送った人のグリーフワークやペットの介護に悩む人々のケアにも取り組む。
「オウムの子どもたちの一時保護を検証する」で第12回『週刊金曜日ルポルタージュ大賞』入選。
現在、ウェブマガジン『女子SPA!』にて自身のペットロスの体験を連載中。
著者写真・撮影:殿村忠博
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