(※画像はイメージです/PIXTA)

「相続対策」というと、よく紹介される方法の一つが、生命保険に「500万円×相続人数」の額で加入することによる「相続税対策」です。しかし、重要なのはそればかりではありません。とりわけ、「受取人を誰にするか」を間違えると、かえって相続争いの火種になる可能性や、相続人が経済的に困窮する可能性すらあります。どういうことなのか。本記事で解説します。

◆3|相続税の納税資金準備

第三の役割は、相続税の納税資金を準備してあげることです。

 

相続人が不動産や自社株式といった「現物」の資産を受け継いだ場合、相続税の納税資金を自分で準備できないことがあります。

 

その場合、不動産であれば、売却してお金を準備するほかありません。また、自社株式の場合はそもそも市場で売却することができません。

 

そこで、本人が生きているうちに生命保険に加入し、受取人を相続人に設定しておけば、相続人が保険金を相続税の納税資金にすることができます。

保険金受取人の指定を誤ると大変なことに

このように、生命保険、とりわけ一時払い終身保険は、相続における「相続税対策」「相続争いの予防」「相続税の納税資金準備」の3つの問題にすべて対処できます。

 

しかし、そのためには、保険金の「受取人」を適切に設定する必要があります。

 

すなわち、土地や自社株式といった「大きな財産」を承継させる法定相続人を、保険金の受取人として指定する必要があります。

 

ありがちなのは、法定相続人全員を受取人にし、取り分も平等に設定するケースです。しかし、これでは、「相続税対策」にはなっても、「相続争いの予防」「相続税の納税資金準備」には役立ちません。

 

なぜなら、先述したように、生命保険の保険金は、民法上は受取人固有の財産であり、相続財産には含まれないからです。

 

あくまでも相続税法上「みなし相続財産」と扱われるにすぎません。

 

したがって、生命保険の保険金を受け取った相続人は、それとは別に、独自に法定相続分や遺留分を主張できてしまうことになります。

 

これでは、生命保険の「相続争いの予防」「相続税の納税資金準備」の役割が果たせません。

 

相続対策というと、最初に思い浮かぶのは「相続税対策」です。しかし、実は「相続争いの予防」「相続税の納税資金準備」も同くじらい、またはそれ以上に重要です。

 

したがって、生命保険を組む際は、相続における上記3つの問題すべてを考慮に入れる必要があるということです。決して「500万円×法定相続人数」という計算式だけでなく、残された遺族が相続で困らないようにするという視点で包括的に考える必要があります。

 

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