今回は、税負担を軽くする14種類の「所得控除」について説明します。※本連載は、証券アナリスト/AFPの頼藤太希氏、CFP/DCプランナーの高山一恵氏の共著、『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)の中から一部を抜粋し、税金を減らし、お金を貯めるノウハウをご紹介します。

各種の所得控除を差し引いて決まる「課税所得金額」

所得税は、1月1日から12月31日までの暦年の所得に対して課税されます。といっても、1年間の収入の金額から、そのまま所得税の額を計算するわけではありません。

 

簡単に説明すると、まず、収入から「その収入を得るために使った費用」などを差し引いて「所得金額」を計算します。つぎに、その人や家族の状況、あるいは災害や病気などを考慮した14種類の「所得控除」を引いて、「課税所得金額」を求めます。この課税所得金額に所得税率を掛けて、所得税が求められるのです。

 

所得控除とは、本人や家族の状況、災害や病気といった個人の事情によって、税の負担を軽くする制度です。内容を理解して、受けられるものは漏もれなく受けるようにしましょう。

控除額をそのまま所得税から差し引ける「税額控除」

所得控除は全部で14種類。まず、所得が少ない人に重い税負担がかからないよう、課税最低限を保障するものとして「基礎控除」「配偶者控除(または配偶者特別控除)」「扶養控除」があります。

 

つぎに、個人の事情を考慮して税負担を軽くするものとして、「障害者控除」「寡か婦ふ控除」「寡か夫ふ控除」「勤労学生控除」があります。障害者控除は、本人または配偶者、扶養親族が該当する場合に受けることができ、それ以外の控除は、本人が該当する場合に加算されるものです。

 

さらに、社会政策上の必要性から「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「寄き附ふ金控除」があり、病気になったり被災したりした人の税負担を軽くする「医療費控除」「雑ざつ損そん控除」もあります。

 

そして、所得控除を差し引いて税額を計算したあと、さらに税額そのものからマイナスできるものがあります。これを「税額控除」といいます。

 

所得控除の場合、所得から控除額を差し引き、その額に所得税率を掛けた額が節税額となります。いっぽう、税額控除は、控除額をそのまま所得税から差し引くことができます。

 

たとえば、住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、所得税が軽減されます。控除額は、居住を開始した年や控除を受ける年によって異なりますが、住宅ローンの年末残高に対して、一定割合の税額控除を原則10年にわたって受けることができます。住宅ローン控除額が10万円なら、所得税を直接10万円分減らすことができるのです。

 

【図表 所得税の計算方法と所得控除の種類】

 

本連載は、2016年7月26日刊行の書籍『税金を減らしてお金持ちになるすごい! 方法』(河出書房新社)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

税金を減らしてお金持ちになる すごい! 方法

税金を減らしてお金持ちになる すごい! 方法

頼藤 太希,高山 一恵

河出書房新社

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