親の実家の「維持・管理費」の具体的な内訳とは
◆「ゴミ屋敷」は税金面で不利になる
ところで昨今は、崩壊寸前の空き家が多く放置されており、それが大きな社会問題になっています。そこで国は2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。
家屋が倒壊する恐れがあったり、ゴミ屋敷である場合、「特定空家等」にあたるとされ、前述した「住宅用地の特例」が受けられなくなるのです。
なお「特定空家等」に該当すると、自治体から勧告がありますが、これを無視し続けると、所有者は50万円以下の過料が科せられ、行政が強制的に解体してしまいます。
もちろん、解体費用は所有者に請求されます。同法の施行後、これまで14万件の管理不全の空き家が改善されているそうです。
◆庭の剪定(せんてい)、水道光熱費、火災保険などもかかる
税金面だけではありません。まず、水道光熱費も発生します。
筆者の実家は、ガスは解約し、電気と水道は維持し、年間計1万6,000円程度でした。固定電話も念のため維持したので、年間3万円程度かかりました。
庭の剪定費用もかかります。筆者はシルバー人材センターを活用し、1回1万5,000円程度。年2回の依頼で3万円です。
思いのほか、かかるのが火災保険です。盗難や水災などは付けずに、シンプルな保険内容にして、年間2万5,000円程度でした。
そして忘れてはならないのが、子供自身の移動費です。実家は所沢のため、筆者の住んでいる鎌倉からの距離はたかが知れていますが、東京在住の友人の実家は大分で、安い航空券を使っても、往復3万円以上かかるといいます。
筆者の場合、空き家の維持費用は、年間10万円強になります。これが都心に家があれば、土地の評価額は数倍になるため、数十万円は覚悟しないといけないでしょう。
このように「家の維持」には、お金がかかることをしっかり認識し、できる限りのスリム化を図るように心掛けましょう。
永峰 英太郎
フリーライター
高橋 正典
価値住宅株式会社
代表取締役