仕様が規格化されたメーカーなら低コスト
前回に引き続き、投資効率の高いローコストアパートを建てる要点を説明します。
2.仕様を規格化している建築会社を選ぶ
いくら着工棟数が多くても、取り扱う部材がバラバラならスケールメリットは出にくくなります。つまり、よりローコストを望むなら「トイレはこの製品」「外壁のサイディングはあの製品」といったように使用する部材をあらかじめ絞り込む必要があるのです。
このようなことから外装から内装まで細かい部材の仕様を決めている、いわゆる規格化している会社の建築費用は、総じてリーズナブルです。
選択肢が決まっているからといって、物件の個性が出せないわけではありません。ほとんどの製品は、カラーバリエーションが豊富ですし、部材によっては数種類の製品を選べるからです。また、選択肢に入っている部材のほとんどは、価格、デザイン、性能のバランスがいいということで選ばれているので、信頼性が高いといえます。
最も重要な観点は、自分が快適に住むための「住み心地」ではなく、アパートとしての「収益性」を最大化してくれるものであるかです。
「角部屋の側面窓」も「バルコニー」も実際は不要!?
3.できる限り無駄な装備は省く
一般的な住宅では当たり前の装備でも、アパートにおいては無駄なものがあります。ここに一例をあげます。
●角部屋の側面側の窓
一般的に角部屋は突き当たり部分と側面の2か所に窓があります。しかし、実は側面部の窓がなくても入居率は変わらないのです。しかも他の部屋より家賃が若干高くても、です。たしかに開口部は多い方が入居者は喜びます。ところが角部屋の一番のメリットは片方の隣に人が住んでいないことなのです。そのため角部屋の側面部の窓は省くことが可能です。
削減額の目安は窓1か所につき9万円前後。2階建ての物件なら4か所ありますから合計36万円です。
●バルコニー
バルコニーも当たり前の装備です。その使い道のトップは洗濯物を干すことでしょう。しかし核家族化が進み、近所に誰が住んでいるか分からない昨今、防犯上の問題からその利用頻度はどんどん低下しています。特に独り暮らしの女性は部屋干しする人がほとんどでしょう。そのためバルコニーを無くし、代わりに浴室乾燥機と部屋干し用のポールを設置するという提案が成り立ちます。
バルコニーを無くせばおよそ20万円から25万円の削減。代わりの浴室乾燥機がプラス約6万円で部屋干し用のポールがプラス約1万円ですから15万円前後のコストカットになります。9戸の物件なら合計135万円です。
●空き部屋対策の追加装備
以前あるクライアントから「真ん中の部屋だけは入居者がつきにくいから、追い炊き機能を追加したい」といわれ付けたことがありました。ところがいくら入居者を募集してもなかなか入居者が見つかりません。そこで仕方なく家賃を少し下げると、すぐに入居者がついたのです。このことで分かったことは、そもそも真ん中の部屋を選ぶ人は、安い部屋を求めているということです。付加価値が付いているからといって角部屋と同じ家賃は払ってくれません。
特に新築木造アパートに住もうという人は、豪華設備よりも見た目がきれいであればできるだけ割安な部屋を探しているのです。「装備は必要最低限。その分割安な家賃で勝負」が鉄則です。
以上の3つの要点をおさえることで、1棟当たり数百万円のコストカットが実現可能です。
このほかにも有効なコストカットの方法に、効率的な設計があります。たとえば外廊下などの共用部分をできるだけなくし、その分戸数を増やすといったことです。
また、ローコストでアパートを建てるには、見積書をよく確認する必要もあります。見積書の項目は業者によって異なります。オプションになりがちな項目には以下のようなものがあります。
●外構
●エアコン(いくらローコストでも今どきのアパートには必須)
●カーテンレール
●照明
●水道加入金(自治体に納める費用。一戸あたり10万円から数十万円)
これらが入る、入らないによっても見積書は100万円単位で変わってくるので注意が必要です。相見積もりをする際には、すべて同じ項目になるように依頼しましょう。