収益を上げるためには「単身者向け」の間取りが有利
木造構造のアパートは比較的安価に建てることができます。とはいえ、同じ木造でも建てる会社によって費用は千差万別。また、部材やデザインに凝りに凝ってしまえば、一般的なRC造よりも高額になってしまいます。
そもそもアパートは、利益を生む装置です。いくら見栄えがいいからといってお金をかけ過ぎては収支が合いません。だからといって「ただの箱」では入居者は魅力を感じないでしょう。そのため建物は、入居者が求めるものをしっかり押さえながらも、できるだけローコストで仕上げる最大効率のものが求められます。
建物の前提として間取りは、1R(ワンルーム)または1Kが最善です。2LDKや3LDKなどファミリー向けは、広い分家賃を高く設定できますが、それだけ戸数が少なくなります。トータルの収入で比較すると、限られた敷地内で、もっとも多く戸数を確保できる単身者向けの1Rと1Kがベストなのです。
「アパート専門」の建築会社なら建築費用を抑えられる
この間取りを前提に、最大効率のローコストアパートを建てる要点は以下の3点あります。
1.年間着工棟数の多いアパート専門の建築会社を選ぶ
建築コストをもっとも左右する要因は、柱や梁などの構造材やシステムバスやトイレなどの設備費用です。それら部材費用を低く抑える方法は、大量仕入れです。つまりコンスタントに多くのアパートを建てている建築会社は、部材を安く仕入れることができるのです。
このスケールメリットは、想像以上です。その差額は、たとえばユニットバスやシステムキッチンで、それぞれ5万円以上。合計で10万円ですから9戸のアパートならこれだけで90万円安くなります。アパート建築のコスト計算において、この「×(掛ける)戸数」を忘れてはいけません。
スケールメリットを出せる会社の目安は、年間100室以上といったところでしょう。ここで注意してほしいのは、この数に住宅建築はカウントしないということです。
アパート建築を依頼する場合、依頼先には次のような業者がいます。
●ハウスメーカー・パワービルダー
世の中には住宅を年間数千棟以上建てているハウスメーカーや建売り業者(パワービルダー)が複数あります。しかし、これらの会社が建てる物件のうち、アパートが占める割合はほんの一部です。そのためスケールメリットが活かせず、さらに住宅を基準にして設計するため過剰装備になりがちで、けっして安価ではありません。
●工務店
小回りが利き、施主の意見をよく聞いてくれるといったメリットがありますが、肝心なスケールメリットがありません。そのうえ普段は戸建て住宅の建築がメインなので、アパート建築のノウハウがないというデメリットもあります。
●アパート経営のコンサルティング会社
おもにアパート経営の事業計画書を作成し、施工は提携する工務店などに委託する会社です。当然マージンがかかるので安いとは言えません。
●アパート専門の建築会社
ある程度の規模以上ならば比較的安価にできるうえに、さまざまなノウハウが蓄積されているので安心感は他よりも高いといえるでしょう。また、アパート専門の建築会社には、不動産業や物件管理業などアパートに関するすべてのサポートを行っているところが少なからずあります。このような会社に依頼すれば、「住宅には向かないが、アパートを建てれば収益性が高い」といった掘り出し物の土地を探してもらえ、同時に経営的なコンサルティングやその土地に合った効率的な間取りなどの提案を期待できます。
以上のようなことから建築依頼先は、あくまでアパート専門で年間100室以上建てている業者を選ぶべきです。さらに土地探しや経営のコンサルティングまでトータルでサポートしてくれる会社ならば申し分ないでしょう。
2と3は次回説明します。