「自由料金」(主に新電力会社)のコスト構造
◆事業者の裁量で自由になる費目が誕生した
2016年4月よりスタートした電力小売り自由化を受けて、電力小売事業者が定める料金は、「事業者の裁量で算定される費目」と、「法令等により算定される費目」の合計となりました([図表3]参照)。
小売り電気事業者は、消費者から電気料金を受け取る一方、発電事業者に「発電料」を、送配電事業者に「託送料金」を払い、残りを営業費と利潤に充てます。
コストは発電(電力の調達)や電気の託送に係る費用が大半を占めます。
このうち、事業者の裁量で算定される費目は、簡単にいえば「電力調達のための費用」および「人件費」「その他経費」に分けられます。
「電力調達のための費用」は、自社電源から調達する場合は発電費用(燃料費や修繕費、減価償却費など)です。電力を他社電源から調達する場合は、電力の購入料金です。
これらの費用は小売り電気事業者が自らの裁量で決めることができる、つまりは自分たちの経営努力でどれだけ下げてもOK、ということになります。
◆経営努力で下げることができない「法令等により算定される費目」
一方で、法令等により算定される費目には、事業者の裁量の余地はありません。
その費目の中には、送配電網の使用料金や電源開発促進税、賠償負担金、廃炉円滑化負担金などを含めた「託送料金」に加えて、再生エネルギー発電促進賦課金、さらには法人税や固定資産税などの各種税金が入っています。
この「法令等により算定される費目」は従来の規制料金(電力小売り自由化前の電力料金)にも費目として加算されており、もちろん算定方法は同じです。