(※写真はイメージです/PIXTA)

プロ同士が火花を散らす土俵に一般人が乗り込んでいく、それが個別株投資です。株式市場は非常に厳しい勝負の場であり、情報・知識・判断力が勝るプロたちに挑んだところで、瞬殺されておしまい、といった悲しい結果になることも…。しかし、大型株投資ではなく、小型株投資であれば、まだ勝ち目はあるといえそうです。なぜでしょうか? 経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「大型株投資=プロとの真っ向勝負」なので…

トヨタやソニーといった株は、世界中のプロたちが注目し、必死に情報を収集して分析をし、活発に売買しています。そうした株について初心者が「トヨタの株は上がりそうだから、買っておこう」などと考えても、情報量も情報分析力もまったく敵わないでしょう。

 

プロとアマが戦っているだけではなく、株式市場ではプロ同士が必死に戦っているのです。株価が1,000円である場合、「1,000円よりも上がる!」と思って買い注文を出しているプロと、「1,000円よりも下がる!」と思って売り注文を出しているプロが同じ数だけいるから、いまの株価が1,000円なのです。

 

プロの半分が値下がりを予想して売り注文を出しているときに初心者が値上がりを予想しても、なかなか難しいでしょうね。

 

まあ、株式の長期投資の期待値はプラス(確率的には儲かる)なので、プロに勝てなくても利益は稼げる、と期待しておきましょう。

小型株に投資しないプロは多い

一方、小型株については、プロが参戦することは稀です。プロは大きな金額を動かしているので、1回の注文の規模が大きいからです。小型株は、時価総額も小さいですが、取引も活発ではない場合が多いので、プロが大きな注文を出すだけで株価が動いてしまうのです。

 

プロが1万株の買い注文を出したときに、売り注文が1,000株分しかなければ、ストップ高になってしまいますから、買いたい株数が買えないばかりではなく、とても高い値段で買わされることにもなりかねません。

 

そうした事態を避けるためには1,000株の注文を出せばいいのですが、今度はコスト割れになってしまうのです。プロは各銘柄について真剣にデータを集めて分析して買うか否かを決めていますから、コストがかかっています。どうせコストをかけるなら、100万株くらい買って大きく儲けたいのに、1,000株しか買えないのでは、いくら値上がりしてもコストが回収できないのです。

 

したがって、プロたちは、小型株の取引には滅多に参戦しません。ということは、アマたちの間で戦えばいいので、大型株よりも大分楽だといえるでしょう。

地元銘柄なら、情報面の比較優位も

小型株のなかでも、地方銘柄なら全国の個人投資家の中でも情報面で優位に立てますから、狙い目でしょう。たとえば、地元中心に展開しているレストランチェーンなどですね。

 

地元のレストランチェーンが最近混んでいて、食べてみたら味もサービスも満足だった…ということであれば、大いに投資を検討すべきでしょう。本来ならば、財務諸表なども詳細に検討するべきでしょうが、難しいことがわからなくても投資してみる、という選択肢もありだと思います。

 

それは、いまの株価はいまの財務諸表等を全国の投資家が詳細に調べた結果として妥当だと考えられている株価のはずだからです。そうであれば、財務諸表等に載っていない情報を持っている分だけ、いまの株価が割安であることを知っているという可能性が高いからです。

 

地元の人しか知らない情報を元に株を買って次の決算期まで持っていれば、決算発表で全国の投資家が驚いて一斉に株を買うでしょうから、株価は上がるでしょう。比較的高い確率で儲かるわけですね。

長期投資でも小型株にはメリットあり

次の決算発表といった短期のみならず、地元銘柄であれば、経営者の人柄等々についても様々な情報を得ることが可能かもしれません。そうした情報は、企業が今後10年にわたって利益を稼ぎ続けることができるか否かを判断する際に大いに役立つはずです。

 

あるいは、地元のレストランチェーンで使える株主優待券が発行されているとすれば、全国の投資家よりも地元の投資家にとってメリットの大きな株だといえるでしょう。

 

地元銘柄に限りません。小型株投資は、大型株投資よりも利益の期待値が高い、ということも重要です。小型株の方が大型株よりも倒産の確率が高いので、臆病な投資家は小型株投資を避けるでしょう。その分だけ美味しい案件が少しだけ大胆な(臆病度合いが少ない)投資家には手に入るのです。

 

ちなみに、これをハイリスク・ハイリターンと呼びます。リスクの高い投資はリターンの期待値が高いという意味なのですが、リスクが2倍ならば成功した時の利益が2倍である、ということではなく、リスクが2倍ならば成功した場合の利益が2倍以上である、といったイメージの言葉なのですね。

 

というわけで、小型株投資をするメリットはあるわけですが、ハイリスクであることをしっかり認識して、多くの銘柄に少しずつ投資をする、という分散投資をしっかり心がけたいものです。

「売りたいときに売れない」リスクには要注意

小型株は、売買が活発でないため、売りたいときに売れない可能性があります。とくに、株式市場全体が不振なときには「買い注文が引っ込んでしまって、まったく売れない」といったことも起こり得ます。

 

そうしたときには「ストップ安でも売れない」といったことも起き得るわけですが、それは売られすぎの場合が多いので、売れなくてよかったとポジティブに考えましょう。

 

資金繰りに必要な株が売れずに困った、といった場合は深刻かもしれませんが、そもそも小型株投資はハイリスク・ハイリターンなので、手元資金を全部投じて行うようなものではありません。そこの出発点をしっかり認識しなおすべきでしょうね。

 

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録