電気代が「ケタ外れ」な上がり方をした人が現れたワケ
標準家庭の値上げ率は、送配電会社により送電線使用料(託送料金)の値上げも含めて、北海道電力20.1%、東北電力21.9%、東京電力15.3%、北陸電力39.7%、中国電力26.1%、四国電力23.0%、沖縄電力36.6%。
同時に今回の決定には、値上げは燃料費高騰が主因のため基本料金は引き上げないこと、賃上げ分の人件費を原価算定に認めないことが盛り込まれています。
加えて現在、私たち消費者にとってさらに厄介な事態が起きています。
もともとは大手電力会社との価格競争を意識して低価格(もしくはガスや携帯料金とのお得なセット価格など)のプランで電力提供サービスを行ってきた新電力の料金も、すでに大手10社のプランよりも上がってしまっている例が少なくないのです。
この冬の電気代がケタ外れに上がってしまった、という人たちの多くは、低価格を求めて地元の新電力に契約を切り替えた人たちでした。
その理由は、規制料金においては上限が設定されていた「燃料費調整単価」に関して、自由料金の下では上限が設定されていないプランが多いためです。
「あまりの請求金額の高さに、ある新電力にクレームが殺到した」とニュースになっていましたが、その会社も契約時に消費者をだまして割高な契約を結ばせていたわけではありません。
燃料価格が想定以上に上がってしまい、その影響を大手以上に受けている、というだけなのです。
■電気代の構成([図表2]参照)
電気代は月ごとに検針されて請求が発生し、その内訳は「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つを合計した金額。
このうち「電力量料金」の細目である「燃料費調整単価」の高騰などが、現在の電気代の高騰につながっている。
電力小売り自由化がスタートしてから約7年が経過している現在、新電力と呼ばれる新たな電力小売業者の数は700社を超えていますが、実は直近の1年では数が減少しています。
価格競争に負けた事業者や、燃料費の高騰を受けて採算が合わなくなり撤退を決めた事業者の数が、新たに参入してきた事業者の数を上回っているのです。2022年9月現在で、一般家庭を含んだ低圧部門では、約4分の1の契約者が新電力に切り替え済みです。
とはいえ、元来は消費者が多様な選択肢の下でサービスを選べるように、より消費者の利益になるように、と進められた電力小売り自由化であるはずが、規制料金がいまだに残っている状況も含めてさまざまな想定外の状況が発生し、なかなかうまく進行していないのが現状といえます。