遺産1億超の叔父が“お見通し”だった、姪A・姪Bの「人柄」
先日、相続税の申告書依頼を受けました。子どものいない叔父が亡くなられ、相続人は叔父の兄の子ども(姪A)と叔父の姉の子ども(姪B)の2人でした。相続財産の概算を算定したところ、叔父さんの財産は1億5,000万円で、相続税額は2人で2,208万円になりました。
私は2人に「7,500万円ずつ均等に相続されたら、約1,100万円相続税を支払うことになります」と説明すると、姪Bが「そんなに相続税を払うの? 信じられない」と言いました。
それを聞いて私は一瞬唖然としました。叔父に感謝する様子がないことに、「叔父さんに子どもがいたら1円も相続できないのですよ」と、思わず言ってしまいました。
後日、姪Aから連絡が入りました。「叔父さんが取引先の銀行に貸金庫を借りていて、中に遺言書がありました」とのこと。私は「内容を当ててみましょうか。そこには『全財産を姪Aに相続させる』って書いてあったでしょう」と言ったら、「何で分かるのですか」と驚かれました。
叔父は生前から姪たちの人柄を見て、姪Bの人に感謝をしない性格はお見通しだったのでしょう。遺言書があったと聞いたときに、内容はすぐに閃きました。
遺言書がある場合、兄弟姉妹や代襲相続人の甥・姪には遺留分侵害額請求の権利がないので、結果、姪Bは叔父の財産を1円も相続できませんでした。私はこの案件を見て、人の日頃の言動、行動がいかに大切かということを思い知らされました。見ている人は日頃の言動・行動をキチンと見ているのです。
秋山清成
秋山清成税理士事務所
税理士
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※本連載は、秋山清成氏による著書『元国税相続専門40年ベテラン税理士が教える損しない!まるわかり!相続大全』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。