「スシローペロペロ事件」で少年に「6,700万円の損害賠償請求」…法的責任はどこまで問えるか【弁護士が解説】

「スシローペロペロ事件」で少年に「6,700万円の損害賠償請求」…法的責任はどこまで問えるか【弁護士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

回転寿司チェーン大手「スシロー」で、高校生の少年が醤油ボトル、湯呑み、寿司に唾液を付着させた事件で、スシローの運営会社から少年に対し、6,700万円の損害賠償を求める訴えが提起されました。世の中にはこの賠償金額について賛否両論入り乱れていますが、法律論的にはどのように考えるべきでしょうか。ダーウィン法律事務所代表弁護士・荒川香遥氏が解説します。

◆再発防止策にかかった費用

スシロー側では、今回の事件を受け、再発防止のため、以下のようにオペレーションを変更しています(運営会社HP参照)。

 

・寿司を回さず、タッチパネルで注文する形式にする

・テーブル上の食器・調味料の交換を希望する客がいれば対応する

・全店舗に順次、客席とレーンの間のアクリル板を設置する

 

これらの費用は、今回の事件がきっかけでかかったものだということは明らかです。しかし、損害をカバーするものというよりも、衛生管理を強化するものであり、「通常生ずべき損害」にあたるというのは難しいと考えられます。

感情や気分で人が裁かれてはならない

今回の件については、事件発生当初から気になっていることがあります。

 

少年の法的責任をめぐって、多くの人が様々な意見を表明しています。「6,700万円では軽すぎる」という声もあります。

 

もちろん、少年の行為は軽率かつ稚拙といわざるを得ず、正当化の余地はありません。

 

しかし、私たちは、感情と法的責任は別の問題だということを認識しておかなければなりません。少年が負うべき責任の内容を決めるのは、あくまでも客観的な法です。誰も、少年に対して制裁を加える権利はありません。

 

いきすぎた正義感が暴走すると、「魔女狩り」が横行する危険性があります。

 

他方で、「6,700万円では重すぎる」という声もあります。しかし、これも、法的観点を離れて論じることはできません。

 

少年がどこまでの損害について、いくらの賠償責任を負うことになるのか、現時点で断定することはできませんが、注意深く見守っていきたいと考えています。

 

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